バンク・オブ・カナダ(中央銀行)を含むカナダの大手銀行5社が、ブロックチェーン・コンソーシアムR3の技術を利用した仮想通貨「Cad-Coin」を試験開発中だ。

カルガリーで開催された「ペイメンツ・パノラマ・カンファレンス」では開発の概要報告の一部ととして、実際に分散型台帳プラットフォーム「Jasper」を利用し、Cad-Coinを通してカナダ中央銀行の特殊口座から送金するデモンストレーションが行われた。

カナダ中銀「ブロックチェーン技術の民間利用は十分な実験後」

中央銀行の口座から引き出された現金をCad-Coinに転換し、送金先の銀行口座に送信。Cad-Coinプラットフォームが認証後、デジタル通貨を換金し受取側の口座に現金として振り込まれるという仕組みだ。換金後、Cad-Coinは中央銀行のシステムによって破棄される。
開発には決済機関カナディアン・ペイメント・アソシエーションも協力している。

Cad-Coinの開発は銀行間仲介決済システムの概念実証の一環であり、現時点では民間向けデジタル通貨の発行は検討していない意向を、カナダ中央銀行は明確にしている。

デジタル通貨の発行よりもブロックチェーン技術についての理解を深める方が先決で、「実用的な利用は概念実証を重ね、有益性とリスクを慎重に検討したうえで決定する」という意向をカナダ中央銀行は示している。

こうしたデジタル通貨の採用については、欧州中央銀行(BOE)や連邦準備銀行も検討や実験を重ねているが、実例として公開されたのは初めて。

BOEのマーク・カーニー総裁からも6月16日にロンドンのマンションハウス(ロンドン市長の官邸)でブロックチェーンに関するスピーチが予定されていたが、同日午後1時頃、EU残留を支持していた女性下院議員が銃殺された事件を受けキャンセルされた。( FinTech online編集部

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