ドイツ銀行が6月21日、ドイツ国内の25%に相当する188店舗を閉鎖することを正式に発表した。

この決定により3000人(そのうち2500人が支店勤務)が職を失い、支店数は723店舗から535店舗まで減るが、大規模な事業縮小を目指すドイツ銀行は、さらなる支店閉鎖と人員削除を実施する意向を明確にしている。

多くの大手銀行同様、人員整理の裏側ではデジタル計画が進んでおり、2020年までに7億5000万ドル(約766億4250万円)がデジタル商品とアドバイザリー・サービスに投じられる予定だ。

大手企業の事業縮小で中小企業にチャンス到来?

大手企業による「デジタル革命」が常識となった近年、それにともなう大量リストラは最早珍しい動きではなくなった。

コスト削減を余儀なくされた企業にとって、デジタル化はうってつけの手段であると同時に、消費者の関心を惹きつける最高の「新商品」だ。

しかし長期的なコスト削減につながるデジタル化には、莫大な投資が必要となる。ドイツ銀行はここ数年で120店舗をデジタル化。各店舗に230万ドル(約3億2188万円)づつ投資している。

リテール部門の責任者、クリスチャン・ソーイング氏は、「低利率、規制の強化、そして消費者動向の変化といった厳しい状況下にある今、ライバルと対等に競ううえで人員削減は避けられない」と、不本意ながらも強硬手段をとらざるをえない苦境を説明した。

今回の事業縮小は年内に開始され、来年前半の完了を予定している。

昨年10月に事業縮小計画が発表された時点では、「2020年までに世界10カ国で9000人の常勤職、6000件の外部コントラクター業務を削減する」と発表したほか、子会社であるドイツ・ポストバンクを含む資産整理についても検討されていた。

ドイツ銀行は段階をおって、デジタル化と人員整理をともなう構造改革を同時進行させていくようだ。

しかしこうした大手銀行の大都市での事業縮小が、小さな農村地区などに恩恵をもたらす可能性がある--との見方もでている。米CNBC放送は「大手の競争力が手薄になることで、ミッテルスタント(中小企業)やそのバンキング部門などで、雇用が創出されている」と伝えている。( FinTech online編集部

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