外貨
(写真=PIXTA)

「外貨を持つ」という選択肢もある

円高、円安はこうした普段の生活にも影響を与えていることを説明してきました。これらの動きは外貨で投資を行う商品にも影響を与えます。

外貨で投資を行う商品には、外貨預金、FX、外貨建て個人年金などがあります。これらはいずれも外貨に投資するものです。FXは手元の資金を元手に、その10倍、25倍といった額の取引を可能とする、外貨への投資手法です(これを「レバレッジをかける」といいます)。また外貨建て個人年金は毎月掛金を支払い、それをもとに外貨で運用し最終的に年金として受け取る金融商品です。

こうした金融商品に共通することは、円高時にドル(またはドル建ての商品)を買って、円安になって売れば利益が出ることです。為替で得られる利益(差益)や売買益を「キャピタルゲイン」といいます。なお、FXの場合にはドルを買うほか、ドルを売る(円を買う)ことからも始められますので、この場合円高になった時に利益を得ることができます。

外貨預金では利息がもらえます。FXでも日々保有することで、金利の差益を受け取ることができます(スワップポイント)。この他、分配金や配当金なども該当しますが、保有することで受け取ることができる利益を「インカムゲイン」といいます。

外貨投資のリスク・デメリットとは

ただし、リスクやデメリットもあります。想定と逆に円高が進んだ場合には損失が発生します(為替リスク)。それ以外にも金融商品である以上、金利の変動(金利リスク)や政治情勢などに影響を受けるカントリーリスク、売りたくても売れない(買い手が居ない)流動性リスクなどが存在します。

例えば、米国が金利を上げればドル高へとつながりますが、想定よりも金利を引き上げるペースが遅ければドル安(円高)になる恐れがあります。戦争などが起きた場合には、信用度の高い通貨である円が買われ円高になる恐れがあります。外貨建て商品の場合、売却できてもすぐに現金化できない(現金化できるまでに数日かかる)といったこともリスクといえるかもしれません。

冒頭でiPhoneの例を紹介しましたが、為替の変動は、普段の生活においても価格面で影響を与えます。そのため、私達は、特に外貨投資をしていなくても、為替リスクにはさらされているのです。外貨そのものを購入するかどうかは別としても、資産の一部をこうした外貨建て金融商品にし、円安になった場合に備えるという方法もいいのではないでしょうか。(提供: お金のキャンパス

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