不安を抱える高齢者たち
米国の成人の18%が「定年退職後に備えて、もっと若い頃から貯蓄をしておけばよかった」と感じている。そんな調査結果を 米ファイナンシャル・サービス会社、バンクレート(Bankrate)がまとめた。
老後に必要な蓄えについての不安は年齢層があがるほど増し、65歳以上の27%が「最も後悔していること」として挙げているという。 そのほか学資ローンやクレジットカード負債、住宅ローンなど、計画的、無計画的に関わらず、若い頃に抱えてしまった負債の返済に苦しむ消費者も多い。
この結果は、日本人にとっても人ごとではない。
初婚、出産の高齢化が老後プランに影響?
この調査はバンクレート(Bankrate)の「ファイナンシャル・セキュリティ・インデックス(財政的安定指数)2016年5月版」に含まれている。
調査結果によると、老後用の貯蓄について考え始める時期は、30代以降が多いようで、「老後に備えて十分に貯金していない」と回答した若年層(18歳から29歳)はわずか4%だが、30歳から49歳では17%と一気に増える。その後は、年齢が高くなるほど、割合が高くなり、50歳から64歳では24%。65歳以上が27%と最も高くなる。
世界的に平均寿命が伸びる中、最近は年金の支給開始年齢を引きあげる国が増えており、人々の就労年数も長くなる傾向にある。
米国の社会保障(Social Security)制度では、納めた社会保障税の額によって支給される年金の額が変わる。支給開始年齢は2014年の職後給付制度改革以降、65歳から67歳に引き上げられた。
一方で、就労年数が長くなっても貯蓄が増えるわけではなく、むしろその逆となるケースが多いようだ。定年退職後、悠々自適の生活を送る経済的な余裕がなく、パート勤務など何らかの形で働かざるを得ない高齢者が増えているということだ。初婚や出産の年齢が高くなり、子育てを終える時期が遅くなっていることで、老後についての備えが遅れることが高齢者の生活に影響を及ぼしている可能性がある。