年金,将来不安,再雇用,定年延長
(写真=Creativa Images/Shutterstock.com)

世界でも類を見ないほどのスピートで少子高齢化が進んでいる日本。影響はさまざまなところに及んでいるが、中でも特に問題になっているのが「年金」である。

「老齢年金」の厳しい現状

現在、日本の年金制度は「賦課(ふか)方式」という仕組みがとられている。これは「自分が支払っているお金が、現在の受給者に支払われる」形式のことであり、介護保険も同じ方式が採用されている。

それに対して「自分で積み立てたお金を、将来自分がもらう」という仕組みを「積み立て方式」という。これは、要は貯金と同じことであり、民間の年金保険や確定拠出年金はこちらを採用している。

1970年の時点では、現役世代約9.8人で高齢者1人を支えればよかったため、賦課方式でも少ない負担で済んでいた。それが2010年の時点では、現役世代約2.8人に対して高齢者1人を支える状態になっている。これが2050年になると現役約1.3人で1人の高齢者を支えなければならなくなると見られている。

このような中で、賦課方式で保険料を賄おうとするのはムリがあるだろう。かといって積み立て方式に移行するためには、現在の受給者に支払うための財源が別に必要となる。

このままでは立ちいかなく年金制度を維持するために、新しい年金制度改革関連法案が2016年12月14日に成立した。もともと物価や賃金に合わせて年金支給額を調整するマクロ経済スライドが2004年に導入されていたが、「デフレ下では実行しない」というルールがあったため、これまで実際に発動されたのは2015年の1度だけであった。今回、新ルールを盛り込むことによって、世代間に横たわる不公平感を是正していこうというのが改正の趣旨である。

近づく「70歳定年」時代

年金財政が大幅に悪化するのを避けるために、すでに年金の支給開始年齢を67歳に引き上げる案が検討されているところだが、近い将来、70歳にまで引き上げられるのは間違いないだろう。そうなった場合、どのような未来が考えられるのだろうか?

実際、年金が70歳からの支給開始にズレるとなれば、それに合わせて、70歳まで働くのが当たり前の世の中になるのは十分ありうる未来である。そうしなければ、年金が開始されるまでの間に生活できなくなる人が続出し、社会保障費が膨らむ。国は是が非でも企業に協力を求めるだろう。

定年に関して、会社は現在「定年の引き上げ」か「継続雇用制度の導入」「定年の廃止」の中のどれか1つを選んで実施することが、法律によって義務付けられている。

厚生労働省が2016年10月にまとめた「平成28年高年齢者の『雇用状況』集計結果」によると、調査対象となった全国の「常時雇用労働者が31 人以上」いる企業15万3023 社のうち、「希望者全員が 65 歳以上まで働ける」企業は 11万3434 社であった。対象企業の中で占める割合は 74.1%となり、対前年比1.6ポイントの増加となっている。

今後、労働人口減少のことも考え合わせると、サラリーマン生活が延びていくことは避けられない状況である。

「再雇用」が意味するところとは

労働者にとっては、「希望者全員が働ける会社が7割を超えている」というのは朗報だが、一方で「働く環境」についての問題がある。

現在、定年延長の義務化に伴い、多くの会社が採用しているのが「再雇用」である。再雇用とは基本的に「60歳定年」はそのままにしておき、それ以降に関しては契約を締結し直して従業員を再度雇用することである。するとどうなるのかというと、多くの場合、給料が現役時代の半分ほどになり、役職も一切なくなるというのが一般的だ。

「役職を一切解かれる」とは、組織のラインから外れることを意味する。そうなると、考えられるのは「上司が年下になる」「現場に戻らないといけない」という2つの大きな変化である。

役職がなくなり、「自分の組織を持たない」ということは、60歳にして「個々の生産性を求められる」プレイヤーに逆戻りすることを意味する。高齢者の中には、子会社でアルバイトに混じって働かされたり、単純労働に従事させられたりといった例もあるようである。

現在は、制度の変更に伴う移行期間中であり、高齢者が働く環境・条件などが整ってくるには、まだしばらく時間がかかるものと思われる。

「安心した老後」を迎えるために

いずれは労働環境も改善されてくるとは思われるが、実際にはなかなか「10年間はつらつと働ける」状況とはならないのかもしれない。

それでは、こうした未来を変えるためにどうしたらいいのかというと、それは「お金の勉強をする」ことである。経済的な自立を達成するためには、お金と向き合い、「国も会社も当てにせず、自分の年金は自分でつくる」という姿勢が大切である。

自分の老後を他人の手に委ねないことが、この状態から抜け出す唯一の手段であるといえる。

俣野成敏(またの なるとし) 1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

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