こんな話を聞いたことがあります。
それは、資産1億円を有している75歳のおばあさんが、老後資金のことで悩んでいるというものでした。相続の問題かな? と思ったのですが、違いました。何と、自分の老後資金が足りるか心配だというのです。びっくりです。資産が1億円もあるのに?
預金残高が毎月減っていくという「不安」
そのおばあさんは、特に贅沢な暮らしをしているわけではありません。でも、毎年資産を取り崩していることが、不安だというのです。
計算をしてみましょう。
現在75歳で、105歳まで生きるとしたら、30年間あります。1億円を30年で割ると1年間で300万円(1億÷30年=年間333万円)取り崩しても大丈夫な計算です。それに年金100万円が上乗せされるので、年間400万円で暮らせることになります。通常で考えるとかなり余裕のある生活ができるはずです。
しかし、預金の残高がどんどん減っていくのは、不安なのでしょうか。計算上は、ほぼお金に困ることはないと分かっていても、自分が何歳まで生きるのかは誰にも分かりません。ですから生きているうちに何かあると困ると考えるのでしょう。何かあった時に、お金に困らないだろうか? と不安がつきまとうわけです。
老後資金の準備の仕方が間違っていた?
それではいったい老後資金は、いくらあれば大丈夫なのでしょうか。この手の話は、書籍やマネー雑誌などでも良く見かけますよね。実際筆者自身も何度も書いてきました。
その多くは、統計に見られる平均的な生活をモデルに、平均寿命を元に算出しています。根拠に基づいた数字ではありますが、それでもあくまで「平均的な机上の数字」であることも確かです。筆者も老後資金の一定の目安として書いてきました。あくまで目安ですが、最低3000万円は必要でしょう。しかし、その目安の数字よりはるかに資産を持っていても、不安を感じている人がいます。逆に資産が少なくても不安を感じていない人もいるのです。
なぜ、そのような違いがでるのでしょうか?