Brexit,景気後退,英国
(写真=PIXTA)

世界最大の米資産運用会社ブラックロックが7月、「英国の景気は年内に後退を始め、今後5年にわたって経済成長が鈍化する」との警告を発した。

ブラックロックの予想通り、最新の購買担当者景気指数(PMI)はリーマンショックの翌年(2009年)水準まで後退。この数字から、2016年第3四半期のGDP(国内総生産率)が0.4%縮小すると予想できる。

このような状況下では「新興市場債券や先進国投資適格社債、あるいはユーロ圏の銀行債券を購入した方が賢明だ」というのが、ブラックロックの見解である。

予想1「英GDPは最低でも2四半期連続で低下」

世界中を浸透したBrexit後、新首相就任によって一時的に希望が持てる空気が市場で漂ったものの、EU離脱後の行く末がまったく不透明である事実に変わりはなく、不安要因に満ちている。

Brexitの代償として、投資や貿易の大幅減少、ポンド安、物価上昇などが挙げられているが、これらすべてが英国の経済成長にとって、大幅なマイナス効果を与えることはいうまでもない。

ブラックロックのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、リチャード・ターニル氏は、英国のGDP(国内総生産率)が「最低でも2四半期連続で低下する」と見ている。

英国で前回、2四半期連続でGDPが低下したのは2008年から2009年。その後、本格的な景気後退に突入した。今回第3四半期に低下が見られれば、「不況の前兆」ととらえる方が自然だろう。

対策として8月に追加緩和が予想されているが、同じくブラックロックのスコット・ティールCIOは「市場の準備は完全には整っていない」と、効果のほどに懐疑的だ。

すでに過去最低水準の0.5%に設定されている金利をさらに引き下げれば、ポンドは底なしの勢いで下落する可能性が高い。国民投票後、ポンドはすでに急降下。7月6日には1.28ドル(約134円)まで落ちこみ、7月26日現在は1.31ドル(約137円)に落ち着いている。