Olympic
(写真=PIXTA)

IOC(国際オリンピック委員会)が2013年9月の総会で、2020年オリンピックの開催地に東京を選んで以来、外国人投資家たちが東京の不動産に熱い視線を送っています。大胆な金融緩和がもたらした円安効果を背景に、日本を訪問する外国人が急増しています。いったいなぜ、東京の不動産は海外の投資家から注目されているのでしょうか。

1.都市としての魅力

生活者の暮らしやすさの視点で都市を評価した「Quality of Life Survey」(2014年)によると、東京は、北欧のコペンハーゲンに次いで2位にランキングされています。なかでも、公共交通、公道整備率、商業施設の充実、犯罪率の低さ、国際線利便性向上などの点において、東京は他の都市に比べて高く評価されています。

都市としての総合評価は・・・

全世界の都市を「文化的経験」「情報流通」「人的資源」などの観点から総合的に評価した「グローバル・シティ・インデックス」(2015)によると、東京は世界の125の都市の中で、2008年の初回調査から4位をキープし続けています。1位ニューヨーク、2位ロンドン、3位パリに次いで東京が4位。もちろんアジアでは1位です。東京が国際的に高い評価を受けていることがわかります。

また、同調査で東京は、「国際競争力が高く、今後の成長見込める都市の“グローバル・エリート“」として、前述のニューヨーク、ロンドンをはじめ、パリやソウル、シドニー、シンガポール、サンフランシスコ、ベルリンなどと肩を並べ、世界16都市のうちの1つとして注目されています。

2.オリンピックによる経済効果

では、東京オリンピック開催による経済効果はどれくらいあるのでしょうか? 東京都の試算よると、オリンピック開催に伴う経済波及効果(生産誘発額)は、東京都で約1兆6700億円、その他の地域で約1兆2900億円だそうです。みずほ総合研究所の試算では、日本全体への経済波及効果が2兆5000億円、所得が6000億円、雇用(就業者ベース)が20万9000人、付加価値として1兆3000億円という結果が出ています。

オリンピック開催による経済波及効果は、日本の土地、特に東京の不動産価格に影響を及ぼすことが見込まれています。1964年の東京オリンピック以降、オリンピック開催都市は誘致決定から開催までの期間に不動産価格が上昇しています。2008年の北京オリンピックでは、北京の不動産価格が高騰しました。2001年から2008年までの8年間に、1平方メートル当たりの北京の不動産価格は、平均で約280%上昇しています。北京オリンピック同様に不動産価格が高騰することを期待した中国人投資家たちが、東京の不動産に投資しているのです。海外の不動産投資家の多くが、東京オリンピック開催までは東京の地価が上昇するとみています。