「なでしこ銘柄」がTOPIX(東証株価指数)をアウトパフォームする仮説

さて、経済産業省と東京証券取引所が選定した「なでしこ銘柄」や三井住友銀行が投資信託「なでしこ」の組み入れ対象とする企業は、TOPIXをアウトパフォームするのでしょうか?三井住友銀行の投資信託「なでしこ」についてはファンドマネジャーの力量等による要素も大きいとおもわれますので、経済産業省と東京証券取引所が選定した「なでしこ銘柄」がTOPIXをアウトパフォームするという仮説について考えていきたいと思います。

「なでしこ銘柄」がTOPIXをアウトパフォームするという仮説の根拠は、「なでしこ銘柄」の選定方法にあると考えられます。女性活躍に関するスコアリングは、国内外の企業の環境・社会・ガバナンス(ESG)側面の調査・分析を手がける株式会社日本総研により実施されていますが、女性の活躍状況に関して、「女性のキャリア促進」「仕事と家庭の両立サポート」のふたつの視点から、「方針」「取組」「実績」の3つの側面を評価しています。さらに、女性の活躍スコアが当該業種において上位の銘柄群の中から、ROE(株主資本利益率)の直近3年間平均が業種平均以上であることを条件に選定されています。

ROEが業種平均以上という条件から、「なでしこ銘柄」がTOPIXにアウトパフォームする可能性が高いと考えられます。ROEに着目した銘柄選定という意味では、JPX日経インデックス400と共通する点があります。JPX日経インデックス400をインデックス組成前の期間の過去に遡って検証すると、TOPIXをアウトパフォームしています。


「なでしこ銘柄」の仮説はワークするのか?

最後に、「なでしこ銘柄」の仮説はワークするのかについてまとめると、女性管理職や女性役員の数や比率が高い企業の株価のパフォーマンスがTOPIXをアウトパフォームするのかどうか、アウトパフォームするというレポートもあるようですが、正直、よくわからないとも言えます。女性の活用は、ダイバーシティ経営を進めるうえでの「試金石」として、企業のイノベーション促進、グローバルでの競争力強化に貢献するのも、おそらく間違いないのですが、株価のパフォーマンスにすぐに結びつくか、よくわかりません。

しかしながら、「なでしこ銘柄」はROEの高い企業から選定せれています。財務面から、「なでしこ銘柄」の仮説がワークする可能性が高いと考えています。ROEの高い企業から選定されているJPX日経インデックス400は、今年1月の算出・公表開始以来、TOPIXと同じような動きを繰り返してきましたが、4月以降TOPIXをややアウトパフォームした動きになっています。

photo credit: Tokyo Stock Exchange via flickr cc