法人税引き下げに対する反応

皆さんは日本の会社がいくら税金を払っているかご存知ですか? つい最近4月に、私たち消費者に対する消費税が増税された事が世の中では大きなニュースになっているのですが、逆に法人税が減税されるという話題は、消費税増税ほど皆さんの耳には入らないのではないでしょうか。 外資系金融機関のマーケティング部門を担当していた私が見てきた、法人税減税に向かう日本の状況をお伝えします。

消費増税、法人税減税。その理由は!?

4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた事はまだ記憶に新しいので、皆さんも覚えていらっしゃることでしょう。お財布の中身をみてみるときっと今までより1円玉が多くなってしまっていると思います。消費税を増税した理由を、皆さんはご存知でしたか?なんとなくいつもの買い物の値段が上がったと思って、背景までは気にしないという人も多いと思います。理由は単純、高齢者に対する社会保障費、医療費等が必要になってきたので国民から集めようとしてい るのです。

さて時期を同じくして、法人税の引き下げが騒がれています。まずは理由から説明しようと思います。法人とは利益を出す集団です。日本の会社は日本で事業をして日本で利益を生みます。従業員が一致団結して稼いだ利益にも、税金が掛かります。もしその税率が高かったらどうでしょう?『たくさん稼いでもその分取られちゃうなら、日本で稼がない方が良いじゃん。海外に拠点を置いて稼ごう!しかも法人税が日本より低い国で稼げば、日本で稼ぐより得じゃん!』こんな考えを招き、日本から法人が拠点を海外に移す事を恐れて、国は日本企業を日本国内に囲もうとしているのです。では日本の企業に課せられる法人税の税率を見てみましょう。

日本はアメリカに次いで第2位の法人税が高い国です。ヨーロッパ各国でも法人税は現在引き下げの段階です。各国とも自国の企業には自国で稼いで納税してほしいですからね。だいたい5年間とか10年間の期間を設けて、段階的に法人税を減税するのが一般的な政策です。 各国の法人税を見ていくと、確かに日本に比べて低い税率を課している国がほとんどです。現行34.6%の法人税を10%減税して約25%まで引き下げようという日本政府の施策には世界も驚きました。しかも短期でこれをおこなうというから各国の反応もさまざまです。減税後はアジア諸国と肩を並べる程の法人税率になるので、日本に進出する海外企業も増え、日本企業もますます日本での事業拡大に精を出すという政府の考えです。しかしながら、海外企業の日本進出を促すという面では、法人税率を引き下げたところで、その他の壁はまだまだ高くそびえ立つでしょう。まず英語環境の無さ、コストの高さ、最後に法規制の厳しさです。これら全てを解放しない限り、日本を目指す海外企業は簡単に進出できないと思います。