デンマークが「コペンハーゲンFinTech」の開設を機に、FinTech産業への参入に本腰をいれる構えだ。コペンハーゲン市、デンマーク金融協会、デンマーク銀行協会の先導のもと、スカンジナビア地域のFinTech発展に貢献する中心ハブとして、秘められた可能性を世界へと広げる野望を抱いている。

意外と知られていない北欧FinTechだが、2014年から2016年3月にかけての投資額は約4億ドル(約425億6800万円)弱、取引件数は50件を突破している。

2009年からFinTech市場開拓 北欧市場をリードするデンマーク

スカンジナビア地域初のコワーキング(共働)FinTechハブ、「コペンハーゲンFinTech」の基盤となるのは、2009年に発足した「コペンハーゲン・ファイナンス・IT・リージョン」だ。2014年にネットワーク機関「コペンハーゲンFintechイノベーション・アンド・リサーチ(CFIR)」として進化を遂げ、スタートアップと金融機関、規制当局をつなぐ架け橋として、着実にエコシステムの形成に貢献してきた。

装いも新たに、スウェーデンのノルデア銀行系年金保険会社、ノルデア・ライフ・アンド・ペンションでデジタル開発ディレクターを務めるトーマス・ジェンセンをCEOに迎え、FinTechアントレプレナーシップの促進から決済・プラットフォーム開発、サイバーセキュリティ対策など、主要分野に取り組んでいく。

デンマーク政府が昨年からFinTech支援を行っているものの、欧州圏ではロンドンやベルリン、フランクフルトといった他都市の影に隠れてしまっていたコペンハーゲン。しかしバラエティーに富んだスタートアップが、地道な基盤固めに貢献している。

地元で最も人気の高い分野はクラウド・ファンディングだ。投資家に元本と利子を返済する融資型では、LendinoとFlexfundingの2大スタートアップが注目を集めている。物品購入型(物品返済)では、設立10年にも満たないKickstarterやIndiegogoなどが、総額何十億ドル(約何千億円)もの資金調達プロジェクトに成功している。投資型(元本と配当金返済)のFunded By Me、Crowd cubeなども有望視されている。

決済分野はオルタナ・バンキングのLunarway、Visaやマスターカードに対応しているリテール用決済ソリューション、Clearhaus、ビットコイン決済のCoinifyへの需要が高い。デジタル・ポートフォリオ・マネージメントのCap Desk、会計ソフトのDineroなど、数えきれないほどのスタートアップが続々とデンマークから生まれている。

コペンハーゲンFinTechの設立は、これらのスタートアップを支援すると同時に、新たな才能の発掘・育成を加速させるはずだ。北欧FinTechの台風の目となりそうなコペンハーゲンから、世界をゆるがすスタートアップが登場するかどうか、今後の活躍に期待したい。( FinTech online編集部

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