いまやペットは「ブーム」という言葉では説明できないほど、身近な存在になっています。そんな状況のなかで、「ペットの医療費」が変化してきています。ペットの寿命が延びたのと同時に、人間と同じような高度な医療サービスを提供する動物病院が増え、ペットの医療費が急増しているのです。
そこで注目されているのが「ペット保険」です。ペット保険は、犬や猫などが病気やけがをした時の医療費等が補償される保険ですが、ここでペット保険の現状について紹介しましょう。
ニーズはありそう 意外と少ない? ペット保険加入
代表的なペットの国内の飼育数は、犬が991万7,000頭、猫が987万4,000頭、飼育世帯数は、犬が798万世帯、猫が559万世帯です(ペットフード協会「平成27年 全国犬猫飼育実態調査」より)で、犬か猫を飼っている、あるいは両方飼っている世帯は約1,357万世帯と想定されます。
当時の国内の世帯数は5,641万世帯(2015年1月1日現在、総務省)ですのでおよそ4世帯に1世帯が犬や猫を飼育していることになります※。最近の傾向としては犬の飼育頭数が年々減少を続けるなかで、猫はわずかながらも増加傾向にあり、現在は「猫ブーム」「ネコノミクス」などといわれています。
※犬も猫も飼っている世帯があるため、実際の割合はこれを下回ります。
ペットビジネスの市場規模としては、2015年度の推計で1兆4,689億円(矢野経済研究所「ペットビジネスに関する調査結果2015」より)というデータがあります。ペット関連市場のなかでも、デンタルケア用品、排せつ関連の消耗品や動物病院の利用、ペット保険などが堅調な伸びを示しているようです。ペットの健康維持・管理に関わるサービスへの需要は今後も高まっていくのではないかと予想されています。
一方で、2015年のペット保険契約件数である106万5,000件(富士経済調べ)を犬や猫の飼育世帯数と比較すると、加入率は13世帯に1世帯程度とペット保険の加入率は低い状況です。どうやらこうした背景には、ペット保険の存在がまだ十分に認知されていない事情があるようです。
保険料は、犬は年齢と犬種、猫は年齢で決まる
ペット保険そのものは、月額1,000円未満から数千円程度ですが、2013年に地方経済総合研究所が九州7県を対象に実施したアンケート調査によると、犬にかける費用は年間約19万円で、うちペット保険に2万3,000円、猫の場合は年間約12万円のうちペット保険に7,000円でした。
動物病院はすべて自由診療です。最近は動物病院でもCTやMRIといった高価な医療施設を整備しているところが多く、その分医療費も高額になる傾向にあります。
ペット保険の保険料は保険会社によって異なりますが、保険料が決まる要素としては、動物の種類、年齢、補償割合、特約などがあります。犬の場合は年齢や犬種によって、猫は年齢によって決まるのが一般的ですが、保険会社によってはさまざまなプランを用意しています。
たとえば、ある保険会社の手術費用のカバーに重点を置いたプランでは、手術費用の90%を補償する補償内容になっています。また、別の保険会社の商品では新規加入できる8歳までなら犬種、猫種によらず一律の保険料が適用されます。その後は、年齢によって区分され、9歳以上は保険料が上がりますが、終身で継続が可能になっています。
窓口で自己負担分のみ払えばよいペット保険も
保険金の受け取り方法も保険会社やプランによって異なります。たとえば通常のペット保険では、一旦診療費を全額負担し、後日、保険会社に診療費を請求する流れとなりますが、保険会社によっては、提携している動物病院であれば、最初から自己負担分だけを払えばよいシステムのものもあります。
いずれにしてもペット保険は現在では種類も多く、自分のニーズにそったものをどう探すかが大切です。通常、人間と同じで年齢とともに保険料が高くなっていくため、ペットの年齢や平均寿命を考慮に入れて、保険に入るタイミングを決めることになるでしょう。
また、保険でカバーされる病気やけがの範囲も事前に確認しておくことも大切です。一般的に、予防注射や去勢・避妊手術、爪切り、耳掃除などは保険の適用範囲外となっています。
飼い主にとってペットは家族の一員であり、今後も元気に長く一緒に過ごしたい。ペット保険もビジネスではありますが、そんな思いに応えるものかもしれません。(提供: お金のキャンパス )
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