大麻合法化が広がる米国で、世界初の大麻購入専用モバイル決済アプリ「CanPay」が誕生した。これまで現金取引が主流だった大麻売買にデジタル決済の利便性と安全性をもたらす、画期的ソリューションとして注目を集めている。

利用法は従来のオルタナ決済同様、アプリをスマホにダウンロード後、クレジットカードやデビットカードとリンクさせるだけ。手数料も無料とあって今後の需要が期待できそうだ。

プライバシー重視で手数料もゼロ 消費者の需要を満たす嬉しいアプリ

11月8日に米国9州で実施された大麻合法化投票の結果、総計29州および首都ワシントン州において、大麻が合法化された。ネバダ州、マサチューセッツ州、カリフォルニア州などでは、娯楽・医療目的の両方への使用が承認されたことになる。

賛否両論が絶えないものの、世界が大麻を法的に認める方向に動きつつあることは確実だ。米国だけではなく、オランダ、ベルギー、スペイン、チェコなど欧州国でも大麻使用は非犯罪化されている。

米金融コンサルタント会社、ニュー・フォロンティア・データは、大麻関連事業が今後4年間で80億ドル(約9044億円)を上回る巨大市場に成長すると予測。「CanPay」は消費者に利便性を提供するだけではなく、大麻小売店にも販売拡大のチャンスを創出する画期的なツールとなりそうだ。

現時点ではワシントン州、コロラド州の小売店15軒での利用が可能となっている。大麻の価格が高額であることを考慮し、現金を持ち歩くことに不安を感じる消費者も多い。販売店に設置されたATMで現金を引きだすという手段もあるが、「5ドル(約565円)の手数料が惜しい」という心理も理解できる。

スマホひとつで簡単・安全に大麻が購入できるという点で、デジタル決済の需要が爆発的に伸びても不思議ではない。

利用者のプライバシーと安全性を重視し、すべての取引が不規則に生成されるデジタルトークンで行われるという点も嬉しい。購入の際は、加盟店でスマホからCanPay口座にログインし、トークンをスキャンするだけという手軽さだ。

大麻の法規制コンプライアンスを満たす、唯一のバンキング・プログラムを提供しているセーフ・ハーバー・プライベートバンキングと提携関係を結び、消費者からの信頼度を高める配慮もなされている。( FinTech online編集部

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