2017年はUKスタートアップへの個人投資が過熱し、70億ポンド(約9779億8246万円)相当の利益創出を期待させるレポートを、英クラウドファンディング・プラットフォーム「Syndicate Room」が発表した。
レポート内のサーベイからは、低リターンにうんざりし、リスクを承知で高リターン商品を求めるUK投資家が4割に達していることが判明しており、ロンドン証券取引所上場企業のCAGR(年平均成長率)予想が5%であるのに対し、スタートアップのCAGR予想は33%に達している。
7割がスタートアップ投資検討 大口投資家は消極的
このレポートは、2011年にベンチャー・キャピタル(VC)あるいはシード・キャピタルなどの投資を受けたUKスタートアップ578社の、過去5年間における企業評価額変動などを分析したものだ。
調査の一環として実施されたサーベイでは、「高リスク高リターンを狙う」と答えた個人投資家が39%。50%のリテール投資家が「期待したようなリターンを得ていない」、50%の債券投資家が「今後数年間にわたり、リターンをまったく期待していない、あるいは損失をだす」と現状の投資環境への不満をあらわにしている。
これらの投資家にとって、スタートアップへは絶好の高リターン商品であり、66%の投資家が投資を検討している。Syndicate Roomのデータによると、スタートアップの過去5年間のCAGR(年平均成長率)は、ロンドン証券取引所上場企業の6倍以上となっている。
UKスタートアップの評価額は2011年から2016年にかけて、総額18億ポンド(約2514億8120万円)から79億8000万ポンド(約1兆1149億円)に伸びている。また同時期に、投資の価値が4.5倍に膨れあがっていることなどもわかっている。
リテール投資家による来年のスタートアップ投資は、現在のエクイティー投資の14%に値する平均2万ポンド(約279万円)。スタートアップへの投資に最も関心を示しているのは若年層(18歳から30歳)の投資家で、72%がリスクに挑戦する構えだ。
スタートアップへの投資情報を最も得ているはずの大口投資家(運用資産額1億ポンド以上)に、リスクを厭う傾向が根強く残っている点が興味深い。64%の女性投資家も「長期的リターンを重視する」と、スタートアップへの投資には慎重だ。
Syndicate Roomの予想が的中すれば、UK経済と個人投資家の両方にとって、Brexit不景気を吹き飛ばす大きな収穫をもたらす一年になるだろう。( FinTech online編集部 )
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