「サイズ」ではなく「内容」で並べよう

本棚という限られたスペースの中に、できるだけ数多くの本を並べようとすれば、サイズごとに分けて並べるのが合理的です。しかし私は、サイズ別ではなく、内容別に並べています。自分の中で「内容的に近い」と思う本を近くに並べるのです。そうしてこそ、「自分の興味や関心を可視化する」という本棚の機能を発揮させることができるからです。

どの本とどの本が内容的に近いのかは、自分の感覚で決めています。同じ本でも、そこから何を読み取るかは人によって違います。大切なのは「自分がその本から何を読むか」ですから、絶対的な基準はありません。

こういう並べ方をすると、文庫も新書も単行本も、さまざまなサイズの本が入り混じることになります。それでも、すべての本のタイトルが見やすく、見た目もよくするためのポイントは、「手前をそろえる」こと(写真参照)。文庫本のタイトルが両側の単行本の陰になって目に入りにくい、というような事態を避けることができます。

(写真=The 21 online)
(写真=The 21 online)

とはいえ、大判の写真集など、どうしても他のサイズの本と一緒に並べられない本もあります。そういうものは、仕方がないので、別の大判用の棚に並べています。

「積ん読」でもいい! 本棚を新陳代謝させよう

本棚がいっぱいだから」「まだ読んでいない本があるから」と、新しい本を買うことを躊躇する人がいますが、それはもったいないと思います。今の頭の中の状態を可視化するのが本棚なのですから、どんどん新陳代謝させるべきです。

買って、本棚に並べて、毎日、部屋の中でチラチラと目にする。ここまででも、読書体験としては、スタート地点からだいぶ先まで進んでいると私は考えています。そのまま読まずに処分することになったとしても、無数の本からその1冊を選び、毎日、目にしていた時点で、たくさんの刺激を受け取っているわけですから。「積ん読」はどんどんしたほうがいい。

そもそも、「本は最初から最後まで読まなければならない」という「読了教」に、多くの人はとらわれすぎていると思います。「はじめに」だけを読んでも大いに刺激を受ける本もあるし、最初から最後まで読み通しても自分には何も響くものがない本もあるのですから。

なお、最近は紙の本だけでなく、電子書籍に親しむ人も多いでしょう。自分もそうです。しかし、リアルの本棚のように日常の中で自然とタイトルが目に入ってくることがなく、アプリを立ち上げるなど、能動的に行動を起こさなければ触れられないので、これまでお話ししたような本棚の機能は、現在の電子書籍には望めません。

また、プラットホームがいくつも乱立している状態で、単純に自分が持っている本を把握するだけでも手間がかかります。

今後、こうした状況は改善されるかもしれませんが、現状では、自らエクセルなどを使って管理するしかありません。リアルな本と一元管理したい方は、USB接続のバーコードリーダーを使って裏表紙にあるバーコードを読み取れば、ISBNと呼ばれるコードを読み込むことができます。それを『ブクログ』などのサービスにインポートすれば、比較的簡単に書誌データに変換することができます。

内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう)NUMABOOKS代表
1980年生まれ。ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。一橋大学商学部商学科卒。国際見本市主催会社を経て、往来堂書店(東京・千駄木)に勤務。その傍ら、2003年にbook pick orchestraを設立。2006年末まで代表を務めたのち、NUMABOOKSを設立。著書に『本の逆襲』(朝日出版社)など。(写真撮影:長谷川博一)(『 The 21 online 』2016年11月号より)

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