飲み会は1つのプロジェクトであり、幹事はそのリーダーだ。プロジェクトの大小にかかわらず、成功するかどうかはリーダーの力量にかかっている。
しかし、大事なことは大掛かりな仕掛けや奇抜なアイデアではない。成功する飲み会の幹事に共通しているのは、実に小さく地味なことに「コッソリ」気を付けていることだ。
幹事ノートを作る
幹事に求められるのは徹底したリサーチだ。調べるべきことは多い。参加者の好み、予算、スケジュール、人数、お酒が飲めない人、喫煙者と非喫煙者、男女比、候補の店の場所、料金、料理内容、余興の種類、必要な材料、ちょっとした作業を頼めそうな人物など。リサーチした情報は、抜け漏れを防ぎ後で確認しやすいようノートにまとめるのが良い。
日程調整や会場の人気投票ができる幹事用アプリはいくつか存在するが、個人情報が含まれることやレイアウトの自由度を考慮すると、結局はエクセルや紙のノートが便利であることが多い。ノートに記述することで、決定事項だけでなくボツになった情報もログとして残るため、「この店はどうして候補から外れたのだろう?」と調べなおす手間がかからず作業が効率的になる。
使い終わったノートは次の幹事に引き継ぐと重宝されるだろう。
2次会の準備も怠らない
幹事慣れしているビジネスパーソンに話を聞くと、「実は2次会の手配ができているかどうかが成功のカギ」と口をそろえる。1次会が終わって会場の外に出た後、「次はどうする?」「この店は満席だった」と集団で行き場もなくさまようのはいかにも要領が悪い。1次会会場からのアクセスが良くセンスの良いお店は事前にチェックしておきたい。
2次会会場を選ぶ際のポイントは、「1次会とコンセプトが変わること」。和食居酒屋から和食居酒屋ではあまりにも芸がない。1次会が立食やビュッフェなら2次会はゆったり座れるソファ席のある店というように、細やかで気の利いた配慮ができるかどうかがポイントだ。あらかじめ参加できそうなメンバーを確認し、予約も済ませておきたい。
前回の幹事にインタビューして重複を避ける
せっかくスキのないプランを立てることができたとしても、「ここ前にも来たよね」「コース内容も同じだな」「その余興のオチ知っている」となっては台無しである。社内で伝統化されているなど特別な理由がない限りは、過去の飲み会と場所や内容が重複することは避けたい。
それには過去の幹事へのインタビューが欠かせない。使用した会場や料理内容、料金や余興について確認はもちろん、盛り上がったイベントや評判の良かった料理があれば聞いておこう。ついでに、誰が酔いつぶれた、後でクレームがあったなどのトラブルについても耳に入れておくのが良い。
当日はできるだけ「仕切らない」
幹事は準備段階では参加者を募って日程や会場のアナウンスをし、直前には複数回リマインドをするなど積極的に発信していきたいが、当日は裏方に徹するほうが評価は高い。初心者ほど全体の進行や挨拶に力を入れる人が多いのだが、その必要はない。仕切りは開始と終了のスイッチを押すくらいで良く、挨拶など華やかな役回りは飲み会の主役や上司に任せたい。幹事はマイクをパスするくらいにとどめておこう。
当日仕切らなくて済むようにするには、あらかじめ手回しが必要だ。たとえば会計だが、酔いが回ってから手際よく計算して手早く徴収するのはハードルが高いので、事前徴収が推奨される。できれば受付に会計係を置いて集計を済ませてから開宴としたい。
「飲み会弱者」に配慮する
お酒が飲めない、不特定多数と話をするのが得意ではない、そもそも飲み会が好きではない人は、飲み会においては「弱者」と言える。そんな人達にいかに配慮できるかが幹事の腕の見せ所だ。
お酒が飲めない人にやたらと飲ませたがる人がいるが、それはマナー違反。幹事としてはさり気なくかばう行動が求められる。会場選びの際にソフトドリンクの充実した店を選択する方法もある。飲めない分は食べ物を積極的に勧めるか、会計時に優遇する。
あえて一番盛り上がっていない席に座るのも良い手だ。飲み会自体に不満がある層を満足させることができたら、その飲み会は成功と言える。何もしなくても盛り上がれるテーブルはそのまま任せて、シラけている席の「盛り上がり格差」の是正に努めるようにしよう。ただし静かに飲みたい人もいるので、一方的にハイテンションで話しかけるのではなく、あくまでもスマートに行きたい。
参加者の誕生日や記念日を調べておく
中だるみの時間を作らないために、サプライズは必ず用意したい。最も喜ばれるのは誕生日祝いだ。
優秀な幹事はいつの間にか参加者の誕生日を調べていて驚かされる。Facebookで共有しているならすぐに確認できるが、事前に雑談などで聞いておくことも可能だ。この際、その月であれば厳密に日付までは気にしなくて良い。バースデーケーキのサービスが付いてくる店もある。
誕生日でなくとも結婚記念日や出産祝いでも構わないが、プライベートなイベントについては参加者の状況や価値観を十分考慮してから行いたい。婚活中や妊活中の人がいる中で盛大に結婚や出産のお祝いをするのは、たとえクレームがなかったとしても配慮した方が良いだろう。もちろん、全員で祝福できるのであればそれに越したことはない。
幹事疲れを顔に出さない
ここまでお読みいただいて分かるように、幹事は大変である。「幹事疲れ」という言葉もあるくらいだ。しかし、幹事がバタバタと走り回っていたりグッタリ疲れた顔をしたりしていると、せっかくの雰囲気が崩してしまう。ねぎらいの言葉が欲しいのをぐっとこらえて、何でもない涼しい顔をしているのが幹事の鑑だ。
以上、デキる幹事なら「コッソリ」気をつけておきたいことを7つご紹介した。飲み会に限らずあらゆること関して成功の秘訣が語られているが、現実に成功のカギを握るのはこのような「コッソリ」したことである。飲み会の幹事を任されて憂鬱かもしれないが、将来リーダーを務めるプロジェクトの予行演習だと思って、楽しんで取り組みたい。(ZUU online 編集部)