保険についてはさまざまな情報が飛び交い、本当に必要なものなのかどうかの判断がつきにくくなっています。そこで今回は生命保険を取り上げ、加入している場合・していない場合のシミュレーションを交えながら、その内容や意義について解説します。
生命保険とは
生命保険とは被保険者(保険の保障を受ける人または保険の対象になる人)が亡くなった際、もしくは定められた高度の障害状態になった際に支払われる保険のことを指します。世帯主に万が一の事態が生じた場合、収入が激減して家計の収支バランスが崩れます。そのため、残された家族の経済的ダメージを減らし、安心して暮らしていくための保険金を提供するのが生命保険の重要な役割となっています。
生命保険には、定期保険・終身保険・養老保険の3つの種類があります。
● 定期保険
定期保険はあらかじめ保険期間が定められています。その間に被保険者が死亡した場合に限り、死亡保険金を受け取ることができます。基本的に掛け捨てとなりますので満期保険金は給付されませんが、月額で支払う保険料は終身保険などと比べると安くなります。
● 終身保険
終身保険は保険期間が限定されていないため、保障が一生涯継続するのが特徴です。被保険者が死亡した場合に限り、死亡保険金を受け取ることができます。一般的に長期間にわたるものなので、解約払戻金があることから貯蓄性があり、将来的な資産を作る目的で加入するケースもあります。
● 養老保険
養老保険は貯蓄性と保障の両方がある保険です。保険期間を事前に設定し、その間に被保険者が死亡すれば死亡保険金が受け取ることができ、満期時には満期保険金を受け取ることができます。
生命保険は必要なのか
生命保険は、必要なケースとそうでないケースがあります。ケース別に解説していきます。
小さな子どもがいる家庭の場合、世帯主が死亡してしまったときに子どもが独立するまでに必要な家族の生活費・子どもの独立後の配偶者の生活費が必要となることから、死亡保険の加入を検討する必要性は高くなるでしょう。
一方で、子どもがいない家庭の場合や配偶者がパートタイマーや専業主婦などの場合、世帯主が死亡してしまったときに、正社員として社会復帰するには時間を要することが予測されるため、パートタイマーの方は生活に困らないだけの、専業主婦の方は急に就職しなくても済む、ある程度の生活資金を確保できるような生命保険を検討する必要があります。
独身の場合、両親や兄弟・親戚を養う必要があるなど特別な事情がない限り、死亡保険は必要ないでしょう。ただし、葬儀費用やお墓をたてる費用程度の小規模な死亡保険であれば加入するなど選択はあるでしょう。
世帯主が亡くなった時、必要になる金額とは?
実際に世帯主が亡くなった場合、どのくらいの金額が必要になるのでしょうか。
35歳の企業勤めの世帯主、30歳の専業主婦の配偶者、6歳の子ども1人という3人家族の構成で、世帯年収が約430万円(標準月額報酬36万円)、貯蓄が0円で世帯主が死亡した場合を仮定して考えてみます。
まず、子どもが小学校から大学を卒業するまでの16年間で必要な費用(学費等は全て国公立の場合)の推計は、文部科学省の「平成26年度「子供の学習費調査」の結果について」によると、以下となります。
・ 小学校(公立):約192万円
・ 中学校(公立):約144万円
・ 高等学校(公立):約123万円
・ 大学(国公立):約269万円(1年間63万3,700円×4年)
● 学費:約728万円(192万円+144万円+123万円+269万円)
そして、毎月の生活費を25万円と仮定して、16年間の生活費は約4,800万円となります。
● 生活費:約4,800万円(25万円×12ヵ月×16年)
学費と生活費を合わせると、約5,528万円となります。もし、生命保険に加入していない場合、世帯の収入は遺族年金のみとなります。今回のケースの場合、遺族年金は基礎年金と厚生年金の両方が適用になり、子供が18歳になるまでの12年間受け取ることができます。世帯収入から計算して、年間およそ131万円を受け取れるので、131万円×12年で約1,572万円になります。この遺族年金を考慮しても、約3,956万円が不足する計算になるのです。
上記はあくまで一例です。家賃や生活状況により必要な生活費は異なりますので、家計簿などで照らし合わせ、概算金額を出してみてください。
生命保険でどのくらいの金額をカバーできるか
世帯主に万が一の事態が生じた場合、上記の家族のケースでは、およそ2,000万円近くのお金が必要となりました。要するに2,000万円の保障がある生命保険に入っていれば不足分を補えますので、ひとまずの安心は得られるでしょう。
しかしながら、2,000万円という金額は最低のラインの金額ともいえるので、もし不測の事態などが起こった時には想定外の大きな出費が必要となることでしょう。よって、残される家族のことをよく考えた上で家族ごとに余裕のもてる保障金額の生命保険に加入することが重要ではないでしょうか。
上述のことを参考にしながら、生命保険が必要かどうか十分に検討していきましょう。(提供: 保険見直しonline )
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