2016年のUK FinTechベンチャー投資が前年から33.7%落ちこんだことが、英非営利FinTech機関、Innovate Financeの調査から判明した。10.9%の上昇を見せた国際FinTechベンチャー投資とは対照的な結果だ。
Brexitによる先行きの不透明さ、とりわけ「パスポート制度」を含むビジネス環境基盤の緩みが、投資意欲を著しく失速させる原因となったのは疑う余地がない。
EUパスポート権の喪失は特に決済スタートアップを直撃?
2016年の総体的なFinTechベンチャー投資は1436件、総額174億ドル(約1兆9511億円)を調達。そのうちUKへは173件、7億8300万ドル(約784億9100万円)が投じられた。前年の12億ドルから3分の1の減少だ。
最大の投資先となった中国の77億ドル(約8620億1500万円)、王座奪還を目論む米国の62億(約6940億9000万円)に大差をつけられた感は否めない。投資件数では米国を抜いているものの、大型投資ではなく少額投資が多いということだ。
昨年6月のEU離脱投票結果が直撃した第2四半期と比較すると第3四半期には盛り返しが見られるが、それ以前の勢いとは比べものにならない。
昨年のUK3大大型投資はモバイル・バンキング、スターリング・バンク(1010億ドル/約11兆3070億円)、小企業向け融資、iwoca(570億ドル/約6381億 500万円)、オンライン投資、Nutmeg (522億ドル/約5843億7900万円)。投資が最も盛んな分野はオルタナバンキング(27%)、SME融資(13%)、送金(13%)。
UKトップ20投資のうち、12件がEU離脱投票以前のものである点も不安材料のひとつだ。第3四半期のUK投資では、海外からの投資が33%(前年同期日7ポイント減)に抑えられている。また新規投資は36%までしか伸びていない。
英政府はロンドンの金融セクターの位置づけを維持しようと、4月に国際FinTechカンファレンスの開催を予定するなど、引き続きスタートアップを含めた企業支援を強化する意向を示している。
Innovate Financeのローレンス・ウィンターメイアCEOは、EUパスポート権の喪失がFinTech企業、特に決済スタートアップを与える打撃を懸念する一方、UKのFinTech競争力を強化することで補えると希望的観測をいだいている。( FinTech online編集部 )
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