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(写真=Kosobu/Shutterstock.com)

親や配偶者の死によって自分自身が相続人となった場合、亡くなった人(被相続人)の財産を他の相続人と話し合い、分割しなければなりません。自分には関係ないと思っていても、相続トラブルは意外と起こるものです。実際にどんな手続きが発生するのか、詳しくご説明しましょう。

亡くなってすぐに行うべき相続手続きとは?

まず相続手続きを時系列でご説明します。

被相続人が亡くなって、まず7日以内に市町村役場に「死亡届」を提出しなければなりません。お通夜、葬儀を執り行うことになりますが、ここにかかった費用については、領収書を取りまとめるなど、金額を証明できるようにします。これらの費用は、相続財産から控除できるのです。親族の中から出納責任者を決めて、その人にお通夜、葬儀、告別式などの金銭の出入りを管理してもらうと、トラブルが少ないでしょう。

また葬儀が済んだら、被相続人が使っていた金融機関(銀行、郵便局等)へ「死亡届」を提出します。金融機関は、「死亡届」を受け取ると被相続人の口座の機能を停止して「口座の凍結」を行います。

3カ月以内に行うべき相続手続きとは?

初七日の法要が終わったあたりで、「遺言書」の有無を確認します。「自筆証書遺言」があった場合には、勝手に開封することができません。基本的に相続人全員立会いの下、家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。この「検認」は、遺言書の偽造等を防止するために、家庭裁判所が遺言書の現況を確認するものです。

さらに、被相続人の出生から死亡まで連続した「戸籍謄本」を取り、相続人を確定させると同時に、被相続人の財産、借金を全て調査し、「財産目録(遺産リスト)」を作成します。この時点で、各相続人が遺産を相続するか、放棄するかの意思表示を行うことになります。相続放棄をする場合は、自分が相続人であることを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所に「相続放棄の手続き」を取らなければなりません。この相続放棄は、相続人全員で行うのではなく、個々の相続人の意思に委ねられています。

仮に、この「財産目録(遺産リスト)」を作成する時点で幾つかの財産がリストから漏れていた場合、再度協議をやり直す必要が出てきます。まさに、この「財産目録(遺産リスト)」が相続手続きの要なのです。

10カ月以内に行うべき相続手続きとは?

ここまで準備をしてから、相続の意思がある相続人全員で、相続財産の分割を話し合います。もし「遺言書」がある場合には、故人の遺志ですので極力その内容に沿った分割方法になります。ただ、古い遺言書の場合には、実際の相続財産と違う、遺言書に記載された相続人が死亡しているなど、実態に合わない場合もあるので、相続人全員で話し合い、納得のいく分割方法にすることもあります。

相続財産の分割方法が決まったら「遺産分割協議書」を作成し、相続放棄した相続人も含めて、相続人全員が署名・捺印(実印)します。その後、預貯金の分割、不動産の名義変更などを行います。また、基礎控除額を超えて相続税の支払い義務が生じた相続人は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内に相続税の納付を行わなければなりません。

相続アドバイザーとは?

相続手続きのプロと聞いて、思い浮かぶのは、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、FP(ファイナンシャルプランナー)などでしょう。ただ、これらのプロには棲み分けがあって、たとえば相続トラブルには弁護士、不動産の名義変更は司法書士、遺産分割協議書の作成は行政書士、相続税の申告は税理士となります。

最も懸念される「財産目録(遺産リスト)」の作成、つまり遺産の確定については、FPが専門家です。また、生前に相続税が課税されないような対策についても、的確なアドバイスがもらえます。是非FPに相談をして、残された家族が煩雑な相続手続きに悩まないように準備をしておきましょう。