AOKI,スーツ,アニヴェルセル,快活CLUB
(写真=PIXTA)

春の訪れとともに、新社会人となるのに合わせスーツを買い揃えたり、就職活動に向けてスーツの購入を検討したりするなか、紳士服専門店も書き入れ時を迎える。

この時期の活況を除けば、団塊世代の退職やクールビスの広まりから夏場の仕事着がカジュアルウェアへ切り替わり、減少傾向にあるスーツ市場の影響を受け、売り場にも閑古鳥が鳴くことも多い。

紳士服御三家とされる青山商事 <8219> 、AOKIホールディングス <8214> 、コナカ <7494> は、スーツが売れない時代を生き抜くべく、どのような戦略を立てているのか。御三家の1角、AOKIの多角化するビジネスモデルに焦点をあてる。

ヨーロッパの邸宅をコンセプトにブライダル事業に進出

AOKIの2017年3月期第3四半期連結決算によると、売上高は前年同期比で1.8%増の1334億400万円と伸びたものの、純利益は同51.9%減の22億7100万円と大幅な落ち込みとなった。

事業のうち、紳士服を含むファッション部門が大苦戦。新規出店と改装閉店セールで売り上げアップにつなげたものの、セールによる利益率の低下や改装などに伴う販売管理費がかさみ、前年同期に18億5200万円あった営業利益から一転、5億1300万円の営業損失を計上した。主力事業が足を引っ張るなか、新たな収益の柱に成長しているのが、ブライダル事業だ。

ランドマークである大観覧車が存在感を示すみなとみらい横浜。観光地としても人気の高い絶好のロケーションで、欧州の邸宅をイメージした結婚式会場には、120年の歴史を誇る色とりどりのステンドグラスで装飾されたチャペルが、新郎新婦とゲストの特別な1日を演出する。

この日本最大規模の「アニヴェルセル みなとみらい横浜」は、AOKIホールディングスの傘下にあるアニヴェルセルが運営する。同社は、横浜に加え、表参道や長野、名古屋、大阪、福岡など全14の式場を全国で展開している。

ゼクシィ結婚トレンド調査2016調べによると、挙式、披露宴・披露パーティーの平均単価は359万円。これに対し、アニヴェルセルの平均単価は448万円(16年3月期)と、高価格帯の需要をうまく取り込んでいる。

ゲストハウスウェディングスタイルを取り入れた式場は、邸宅内の庭園でパーティーを演出するなど、広々とした邸宅ながらも、自宅に大切なゲストを迎えるようなリラックスしたおもてなしが人気を集める。

さらに、カップルの結婚をサポートするプロポーズプランを導入するなどユニークな取り組みも進めている。17年3月期第3四半期連結決算では、ブライダル事業の売上高は209億100万円となり、グループ全体の売上高の約15%を占めるまでに成長。また、同決算において、主力事業のファッション部門が営業損失を出したのとは対照的に、ブライダル部門は23億7100万円の営業利益を確保した。

あの人気カラオケ、カフェもAOKIグループ

スーツなどを販売する店舗とウェディング、一見、畑違いにもみえる新たな事業も軌道に乗せたAOKIだが、その事業の多角化はこれだけにとどまらない。

お祝いのシーズンを迎える春。入園、入学、卒業祝いに大人から子供まで楽しめるように、ニース風サラダやパスタ、ピザなど本格的な料理6品とともに3時間のカラオケがセットになった「昼のお祝いコース」が話題のカラオケ店のコート・ダジュールも、AOKI傘下のグループ会社であるヴァリックが運営する。

全国で190店舗(16年12月末時点)を展開し、カラオケ事業として、17年3月期第3四半期連結決算では売上高139億6900万円、営業利益5億9100万円上げている。

さらに、ネットカフェとして利用したことがある人も多いかもしれないが、複合カフェ「快活CLUB」もヴァリックが運営するAOKIグループの1つだ。

女性専用エリアを導入するなどして店内のブースをリニューアルさせたり、配置するパソコンの性能アップやWi-Fi環境を改善したりすることで、既存店の増収に注力するほか、鳥取県と沖縄県に初進出を果たした。これにより、青森、福井、愛媛、高知の4県を除く都道府県に327店舗(17年3月期第3四半期末)のネットワークを築く。

17年3月期第3四半期末は売上高223億8900万円、営業利益は13億8100万円となった。まだ進出していない地域には、複数店舗の出店で認知度を高め、全国で500店舗を目標に掲げている。

生産年齢人口(15-64歳)が減少する中、スーツ市場の縮小が避けられないが、AOKIはブライダルやカラオケ、カフェと異業種へのビジネス多角化を進め、主力事業のアパレスを支える柱に成長させようとしている。こうした動きに同業他社が追随するトレンドが生まれるのか。紳士服業界の挑戦に注目が集まる。(ZUU online 編集部)

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