米医療保険制度改革(オバマケア)の廃止を狙う米国のトランプ大統領が、新制度づくりに苦慮している。
トランプ氏はTwitterで、「製薬産業に競争を起こす新制度」を検討しているとぶち上げた。一方、NYタイムズ紙は「共和党が新健康保険法を隠しても驚くに価しない」との社説で、オバマケア後の政策変更を批判している。
低所得者救済を柱にしてスタートしたオバマケアは、共和党政権の政策転換で大揺れになる状況である。
大手製薬会社首脳と会談、価格引き下げ要請
トランプ氏はTwitterで、「米国民にとって、薬の価格が大幅に下がるだろう」と強調した。同大統領はまた、数日先だってあらかじめ大手製薬会社の首脳と会談し、医薬品の国内生産を拡大し、薬価を大幅に引き下げるよう要請していた。
トランプ氏は大統領選の直後に、たびたび薬価引き下げに意欲示してきた。優先課題の1つと位置付けるオバマケア廃止への一環として注目すべき動きである。会談した首脳は、ノバルティス、メルク、ジョンソン・エンド・ジョンソン、セルジーン、イーライ・リリー、アムジェンのCEOや、製薬業界のロビー団体、米研究製薬工業協会(PHRMA)の会長ら。トランプ氏は会談で、薬価は桁外れに高いとの認識を示した。
トランプ氏はまた、米食品医薬品局(FDA)による新薬承認にかかる時間の短縮化も確約。さらに、医薬品の大手買い手であるメディケア(高齢者向け公的医療保険制度)、メディケイド(低所得者向け公的医療保険制度)の医薬品支出が大きすぎると指摘するともに、為替を切り下げを操作する日本や中国は、医薬品開発に応分の費用を負担すべきだといつもの調子でつぶやいた。