フランス大統領選の第2回目投票でエマニュエル・マクロン氏がマリーヌ・ルペン氏を破って大統領に選ばれた。事前予想通りの結果だが、4月から続いてきた、地政学的リスクを中心とする一連のリスクイベント・スケジュールを波乱なく通過した。これで市場ではリスクを取る動きが活性化するだろう。大型連休で手控えられていた投資資金も市場に戻ってこよう。但し、大型連休の谷間の1日と2日の2営業日で日経平均は250円も上昇しているだけに、上値余地がどこまであるか。とりあえず3月2日に付けた年初来高値(1万9668円)を抜いて、1万9700円台をつける場面はあるかもしれないが、2万円の大台回復には至らないと思う。更なる投資環境の改善を待つ必要があるだろう。

今週は3月決算発表が佳境を迎える。社数ベースでは5月12日がピークで、注目度の高いトヨタ自動車 <7203> の決算発表は10日の予定である。

そのほかのスケジュールで注目は、12日に米国の4月小売売上高が発表される。3月は2ヶ月連続で減少したがGDPの算出に使用されるコア(食品サービス、自動車ディーラー、建築資材、ガソリンスタンドを除く)は前月比で0.5%増だった。1-3月に急低下した消費が4-6月に回復するかを占う意味で注目度が高い。中国では8日に4月貿易統計が、日本では11日に4月景気ウォッチャー調査が発表される。11-13日にはG7財務相・中央銀行総裁会議が開催される。

今週、日本株相場が上値をどこまで伸ばせるかは、ずばり為替の動き次第だろう。ドル円は一目均衡表の雲の上限、112円87銭、週足の26週移動平均113円12銭など節目が多くあり、ここを抜けきることができれば115円程度まで展望が開けるところだ。ドル円がこのテクニカルな上値抵抗線で押し返されると日経平均も2万円の大台を前に足踏みが続くことになるだろう。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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