音楽大手のエイベックス・グループ・ホールディングス <7860> が、2017年3月期決算報告の中で、従業員への未払い残業代として約10億円を計上したことを明らかにした。昨年12月に労働基準監督署から是正勧告を受けて、全従業員約1500人を調査した結果、未払い分を確定した。

残業代未払いは、宅配便最大手ヤマトホールディングスや関西電力など頻発し、大きな社会問題になっている。電通の違法な長時間労働による労基法違反事件と併せて、残業を巡る労使問題はこれからも尾を引きそうだ。

社長の労基署批判が火に油注ぐ

エイベックス,ブラック企業,労働問題
(画像=Webサイトより)

労基署が勧告した昨年12月、松浦勝人社長はブログで、「真摯に受け止め対応はしている」と言いながらも、「好きで働いても法律決められた時間しか働けない」「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」などと反論した。エンターテインメント業界の特殊性を強調した発言なのだが、この発言をきっかけにネット上で賛否両論の嵐が吹き荒れた。

GLAYのボーカリストTERUさんは、賛成の立場から「僕らの会社も労基法のまま仕事をすると、コンサートなんてできるはずもない」と問題提起したが、他方「雇用者がそれを言った瞬間に終わり」と批判の声もある。

電通の新入社員で自殺した高橋まつりさんの母親は、1周忌に当たり同月、「仕事のために不幸になったり、命を落とすことはあってはなりません」との手記を公開している。

昨年6月から社員1500人の未払い分確認