「トランプ政権100日は失望だったというのが正しいと思われる」—−。
世界最大手格付け機関で知られる金融サービス会社S&Pグローバルが出した評価である。チーフエコノミストのポール・シェアード氏は、日本記者クラブが10日開催した研究会で講演し、トランプ政権の政策の功罪について語った。
「負」のシナリオが目立つ
シェアード氏は、トランプ氏について「コミュニケーションの仕方が普通とは違い、政治経験もない」と述べ、経済についての主張も論理的といいがたく「解釈が難しい」と語った。
トランプ氏の政策の柱はここまで来て、「規制緩和」「税制改革」「インフラ投資」などに集約される。トランプ氏のシナリオが成功するとするなら、穏やかな減税と規制緩和を併せて、貿易と移民政策に優しい環境がパッケージ化されることである。その結果、GDPの伸びは、政権が目指す3%に近づきそうだと指摘した。
同氏はしかし、現実は「負」の面が多く、トランプ氏が主要な政策を実現する可能性は明白ではないと述べた。トランプ氏の言う減税案では、連邦政府の赤字と金利は上昇してしまうだろう。2010年以来成長率は2%から2.5%平均を維持してきたが、このままでは2019年までの状態は何ら変わらない見通しとなる。
「負」のシナリオはさらに深刻で、トランプ氏はキャンペーン中の公約が実らず、死後硬直状態に陥る可能性もある。手詰まり状態と保護主義が大統領就任直後の楽観主義を砕き、実質GDPの伸びは2018年を通じて1.5%前後にとどまる恐れがある。ウォール街の一部では、「トランプ氏は4年の任期ももたない可能性がある」「途中で投げ出すのではないか」と、ささやかれているという。