ビジネスローンでは、過去の決算内容が重要な審査ポイントの一つです。では、赤字決算の場合はローンが借りられないのでしょうか? 実は必ずしもそうではなく、赤字決算でも審査に通る可能性もあります。

どのようなケースなら審査に通る可能性があるのかを説明していきます。

ビジネスローンの審査は償却前利益で判断されることが多い

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(写真=McIek/Shutterstock.com)

ビジネスローンの多くは、企業の決算を分析して審査するという手法を用いています。返済能力については決算書の中の損益計算書の内容で判断され、その時に重視されるのが「償却前利益」です。

損益計算書は、会社の一定期間内における収益を表示することを目的に作成されます。一方で、会社経営においては先々の経営のために設備投資を行いますが、その投資金額をそのまま損益計算書に計上した場合、その期の損益が正確に把握できなくなります。そのため、長期間にわたる投資をした場合、それを「償却」という形で毎年一定割合に分割して、その期の経費として計上します。最終的に投資額に到達するまでそれを継続することで、投資金額を会社の損益に反映させるのです。

この損益計算書上の償却は、経費ではありますが、本当の意味でその期間の収支には関係ありません。そのため、金融機関が返済能力をみる場合には償却金額を損益計算書の利益に足した償却前利益で返済能力を判断することが多いのです。

ビジネスローンは赤字決算でも償却前利益があれば借りられる可能性がある

一般的に赤字決算の会社は、銀行などから融資を受けるのが難しくなります。それは、利益がないため返済する能力がないと判断される可能性があるからです。

ただし、同じ赤字決算でも償却前利益が黒字の場合には少し異なります。先程も説明した通り、償却は経費計上されていても、実際には資金は流出していません。そのため償却前利益がある場合には、その金額程度の返済能力はあると判断できる可能性があります。

これは金融機関によって判断基準が異なるため、必ず借りられるというわけにはいきませんが、償却前で赤字の企業と比べれば、可能性は高いのです。

赤字決算だと担保が必要になる場合もある

赤字決算でもビジネスローンを利用できることがありますが、それでも黒字企業と比べると審査は厳しくなります。一般的に事業資金の審査をする場合のポイントは3点あります。

1. 融資の相手先や使い道として適切かを判断する「資金使途」
2. 融資の返済ができるかどうかを判断する「返済能力」
3. 万が一の時に金融機関側の損失を減らすために必要な担保を取る「保全」

この3点のバランスを考えながら、融資判断をしています。

赤字決算でも償却前利益が黒字の場合には、返済能力においての評価が上がることもあります。しかし、決算内容が十分ではない時には、保全でバランスをとるために担保を要求されることもあります。担保の内容次第では、償却前利益の出ていない状況でも借り入れできる可能性はあります。

担保は不動産が一般的ですが、それ以外にも保証金や売掛債権などの金銭債権、在庫や車両などの動産が担保になることもあります。担保を要求された場合には、どんな担保があれば融資が可能になるのか、幅広く相談してみることも必要でしょう。

本当に赤字決算でも償却前利益があれば融資が受けられるのか

以上のように、赤字決算でも償却前利益があることや担保が用意できる場合には、ビジネスローンが借りられる可能性があります。ただし、その基準は各金融機関で異なります。どうしても資金調達が必要な場合には、いろいろな金融機関に相談してみましょう。(提供: ビジネスサポーターズオンライン

※当記事は2017年4月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。

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