中東の過激派勢力を支援しているといわれるカタールに対して、サウジアラビアはじめアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプト、イエメン、モルディブ6カ国が断交を通告した。米国のトランプ大統領はTwitterで、「過激なイデオロギーへの資金提供は食い止めなければならない」と述べたことを明らかに、「(中東の)首脳らはカタールを指差した。見たまえ!」とツイート。断交の陰にはトランプ氏がいるようだ。

トランプ氏、中東外交で賭けに出る

中東情勢,
(写真=PIXTA)

ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ大統領が5月にサウジアラビアを訪問した結果、イストラム過激派とイランに敵対するサウジを力付ける結果になったとの見方を紹介していた。CNNによると、イラン高官は今回の断交は「トランプ政権による中東訪問による副産物だ」と非難した。同紙は6日の電子版で、「トランプ氏、テロとのつながりでカタールを隔絶するようサウジに働きかけたと示唆」との見出しで速報した。

トランプ氏は5月中東歴訪の際、サウジのサルマン国王と会談し、巨額の武器輸出に合意するなど緊密な関係をアピールした。同氏はまた、「敵視」を続けるイランへの対応についても話し合ったといわれる。それがカタール断交につながったようだ。

LNGは世界の供給量の3分1を占める

カタールの人口はわずか30万余りだが、石油、天然ガス(LNG)が豊富で、世界の舞台で大きな存在感を示している。石油生産量がOPEC全体の約2%にすぎないが、世界最大のLNG輸出国である。国際ガス連合(IGU)によると、カタールの2016年のLNG輸出量は約7720万トンで、これは世界全体の供給量の約3分の1に相当する。

そのようなカタールとサウジなど6カ国がどのように関係を修復できるか、現時点では不透明だ。米国が関与していることが明らかになり、事態はますます複雑になるだろう。カタール政府は国交断絶の判断は「正当化できず、事実に基づかない根拠なき主張だ」と批判している。関係改善が遅れれば、複雑な中東勢力図はいうまでもなく、一挙に国際緊張を招く恐れがあり、それが特に経済に及ぼす影響は大きい。

湾岸諸国に新たな火種、世界に大きなショック

ロイター通信によると、市場関係者の間では、貿易や投資の縮小により、双方に多額の損失が発生し、資金調達コストの上昇にもつながる恐れがあるとの見方が出ている。原油市場の反応がこれまでのところ比較的落ち着いている。しかし、日本にとっては、カタールは輸入の15%を依存するLNGや石油の主な供給国であり、日本のエネルギー調達に影響が出かねない。

カタールが当面心配なことは、食料輸入額は10億ドルを超え、その内3億ドルはサウジ、UAEから買っていることだ。断交直後、首都ドーハは食料買い占めに走る市民がスーパーに群がった。唯一国境を接するサウジからの食料調達が止まると、市民生活に大きな影響が出る。カタールでは、2022年にサッカーのワールドカップが開催される予定。断交を機にFIFAが忙しく動き始めたというニュースも伝わっている。今後の事態は一挙に読み難くなっている。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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