日経平均株価は6月に入り、2015年12月以来の2万円台を回復しました。その後は再び同大台を割り込み、揉み合う局面もありましたが、6/19(月)には再び大台を回復。翌日の6/20(火)には年初来高値を更新しました。当面は2015年6月22日に付けた高値である20,952円がターゲットになると考えられます。

このように、日本株がジワジワとかつての株価水準を回復しつつある背景には、海外投資家の買いがあげられます。海外投資家は欧米株に比べて多くの点で日本株を割安とみているようです。さらに、配当など株主還元に対する考え方で、日本企業の多くが変わってきたことも評価されているように思われます。

そこで今回の「日本株投資戦略」では、海外投資家の注目も集まると考えられる「大幅増配&高配当利回りが期待できる銘柄」を抽出し、ご紹介することとしました。

大幅増配&高配当利回りが期待できる銘柄はコレ!?

それではさっそく、「大幅増配&高配当利回りが期待できる銘柄」を抽出してみたいと思います。以下の全条件を満たす銘柄を今期予想配当増加率が大きい順に20銘柄並べたものが表1となります。

(1)一定の規模を有し、アナリストが業績を予想している銘柄であること。具体的には、
・時価総額500億円以上の上場銘柄(金融・電力・ガスを除く)であること
・アナリスト2名以上が業績予想をしていること

(2)好業績・高配当が期待できる銘柄であること。具体的には
・今期・来期に10%超の営業増益が予想(市場コンセンサス)されていること
・今期の予想営業利益について、アナリスト予想が会社予想を上回っていること
・過去4週間で今期予想(市場コンセンサス)EPSが上昇していること
・予想配当利回り(市場コンセンサス)が東証1部の平均(1.67%)を上回っていること

(3)株価に割高感や過熱感が乏しいこと。具体的には
・予想PER(市場コンセンサス)が20倍未満であること
・過去1ヵ月間(5/19~6/20)の株価上昇率が0%超10%未満であること

大幅増配&高配当利回りが期待できる銘柄はコレ1

なぜ今「大幅増配&高配当利回り」株なのか?

株式投資は一般的に値上がり益(キャピタルゲイン)の獲得を目的としています。しかし、狙いがはずれて値下がりすれば損失を被るケースも出てくることになります。それゆえ、株主としての権利を確保し、企業が出した利益の一部を還元してもらう配当金を受け取ること(インカムゲインの獲得)により、株式投資の採算向上を図ることは重要であると考えられます。

企業が株主に対して、1年間に支払う一株当たりの配当金が株価に対して何%となるのか、それを示しているのが配当利回りです。一般的には配当利回りが高い程、魅了的な投資対象と考えられます。配当利回りは一般的に、予想一株当たり配当金を株価で割って求められる予想配当利回りが投資の参考指標となります。同配当利回りは確定したものではなく、株価や企業業績、配当政策などによって変動することになります。

もっとも、配当利回りの高い銘柄は、株価パフォーマンス面でも市場平均を上回る傾向があるようです。図1は日経平均採用銘柄の中、配当利回りの高い50銘柄から構成される「日経平均高配当株50指数」の株価パフォーマンス(2015年末を基準とするケース)が日経平均株価を上回る傾向にあることを示しています。

企業が多くの配当金を株主に払うためには、利益をたくさん稼ぎ出す必要があります。高配当が期待できる銘柄の多くは、好調な業績を期待できる銘柄でもあります。好業績が期待できる銘柄は一般的に、株価も上昇しやすいと考えられます。

また、6/20(火)の日本経済新聞には、高配当や増配を期待できる日本株に対し、海外投資家の関心が高まっているという趣旨の記事が掲載されています。欧米の株式に比べて割安だからという理由にとどまらず、配当など株主還元の強化に積極的な企業が増えてきたことも日本株の魅力と考えられそうです。株主総会は6/29(木)にピークを迎えるとみられていますが、その意味では、企業の株主還元政策が話題になりやすいこの時期は、「大幅増配&高配当利回り」株が注目されやすい時期でもあると考えられます。

図1:高配当利回り銘柄は株価パフォーマンスでも市場平均を上回る傾向

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。日経平均株価および日経平均高配当株50指数(日経平均採用銘柄の中で配当の高い銘柄を中心とする50銘柄で構成)の2015年末終値を1として指数化したもの
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。日経平均株価および日経平均高配当株50指数(日経平均採用銘柄の中で配当の高い銘柄を中心とする50銘柄で構成)の2015年末終値を1として指数化したもの

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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