本記事は、吉川 ゆり氏の著書『仕事もお金も情報も手に入れる 人づきあいの戦略書』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
情報も仕事もお金も、全て人が運んでくる
就職や転職、副業や起業をしたいと思った時、または、もっとシンプルに美味しいレストランを探すというような時に、あなたは最初に何をしますか?
履歴書を書いたり、転職エージェントに登録したり、ネットでお店の情報を探したりするでしょう。そういう時に、履歴書を提出する仕組み、転職エージェントの仕組み、お店情報のサイトの仕組みの向こう側に、人間がいることはあまり想像しないかもしれません。
しかしよく考えてみると、履歴書を送る先にも、もちろんレストランにも人間がいます。
そして世の中の全てのこと、情報、仕事、お金、機会などは、全て他の人間を介してしか、自分のところには来ません。人がそういうものを運んでくるのです。
このことに気付くまで、私は、人生は全て自分の力でなんとかするものだと思っていました。
たとえば勉強して成績を上げるとか、黙々と人より多くの仕事をこなし、残業して納入物の質を上げるとか、そういうことで人生を切り開いていくものだと思っていました。
しかし、アメリカの大学院に留学し、同級生がスモールトーク(短い雑談)から華麗に人脈を広げて仕事の機会などを獲得していくのを見て、もしかすると、頑張りだけでは得ることができない世界があるのかもしれない、と思うようになりました。
そして、就職活動をした時に、それを身をもって思い知ることになりました。
というのは、アメリカは、私が思っていたよりコネが重要な社会だったのです。
法律が厳しく、すでに候補者が決まっているポジションでも、一定期間は公募しなければならないという決まりがあります。そのため、事情を知らない人は履歴書を送るのですが、送っても誰も見ていないということが、多々あります。
そういう仕組みを知らなかったため、履歴書を300枚以上送り続けて断られ、その結果「ダメな人間だ」、「ほかの人にはできることがなぜできないんだ」、「私の人生は、どこで間違ったんだろう」と自己嫌悪のループに陥っていました。
しかし、そんなことに時間を費やしていないで、外に出て人と知り合う努力をすれば良かったのです。努力の方向性が間違っていただけなのです。実際、大学院を卒業して最初についた仕事は、同級生の紹介で決まりました。
全ての機会というものは、人を通して自分のところにやって来ます。その至極単純な事実に気が付けば、「ルールに従ってひとりで頑張る」という行動が、いかに遠回りなのか分かるのではないでしょうか。
あなたは、ひとりで頑張りすぎていませんか?
もしひとりで頑張りすぎて自己嫌悪に陥っていたら、深呼吸して周りを見渡す時かもしれません。あなたの周りに、機会がたくさん落ちています。
あなたの年収は、あなたの周囲にいる5人の平均
「あなたの年収は、あなたの周囲にいる5人の平均」という言葉を聞いたことがあるかも知れません。正確には、「人は、自分がもっとも多くの時間を過ごす人たちの平均になる」という言葉なのですが、要はどんな人と付き合うかによって、自分の生活、思考、行動、ひいては性格まで変わってくるということです。
今、あなたがよく時間を過ごす周りの人のことをちょっと思い出してみてください。会社の人、友人、家族。考えてみると、今あなたの周りにいる人は、あなたと同じような生活様式、価値観、考え方を持っている人が多いのではないでしょうか?
社会学の研究でも、こうした影響は確認されています。アメリカの社会学者の研究によると、貧困家庭の子どもが、親の年収が高い家の子供と一緒に勉強したり遊んだりして育つと、そうでない家の子どもより、将来の年収が平均20%も高くなる傾向があったそうです。
年収のような社会的な成功だけでなく、価値観、考え方、行動なども、周りの人によって形作られていくことが分かっています。それだけでなく、私たちの人生の質を左右する、幸福度といったものも、他人との関わりによって変わってくることが明らかになっています。
人は、身近にいる人たちが大切にしている価値観や行動の基準を、無意識のうちに「自分のもの」として取り込んでいきます。その結果、考え方や選択の幅、人生に対する見方までもが、周囲の環境に影響を受けていくのです。
こういうことが起こるのには、からくりがあります。人はまず、自分と似たような人、類似性のある人を好きになったり信頼したりします。共通点のある人同士で関係が深まるほど、価値観や基準はさらに近づいて強化されていきます。逆に、前は仲良く付き合っていた人が、進学や就職で別の環境に入っていったら、一緒にいても話が合わなくなって疎遠になったという経験もあるのではないでしょうか? 環境の変化などによって基準が変わると、関係性が変わることがあります。
社会を変える土台としての「人の変化の構造」を体系化し、経営者・リーダー・医療者・教育者・芸術家など変化を起こす人材を育てている。
大阪大学人間科学部卒業後、米国の大学院で国際行政学修士号取得、米国の金融業界にてメガバンクヴァイスプレジデント、フィンテックシニアディレクターを歴任後、コーチとして独立。
現在は国内外の管理職・経営者・専門家に向けて、変容的リーダーシップと人間成長の技術を提供している。
著書に『なぜ、あなたは時間に追われているのか「時間がない」から解放される15の仕組みと思考法』(日経BP)。
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