本記事は、吉川 ゆり氏の著書『仕事もお金も情報も手に入れる 人づきあいの戦略書』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
全ての人は常に営業をしている
「営業」と聞くと、「自分は営業職じゃないから関係ない」と思うかもしれません。私自身も、コミュニケーションが苦手だと思っていたので、売らなければいけない時は営業の人の後ろに隠れたり、可能な時はできるだけ営業の仕事から離れたところで仕事をするように心がけていました。そのため、自分で起業をした時は、どうやってものを売れば良いのかよく分かりませんでした。
でも実は、営業職でなくても、会社員もフリーランスも、経営者も、全員が毎日営業をしています。会社員にとっての「営業」は、商品やサービスを売ることではなく、自分という人材を売ることなのです。
たとえば会議の場面を思い浮かべてください。同じ意見を言っても、堂々と自信を持って話す人と、声が小さくて不安げに話す人では、受け取られ方がまったく違います。前者は「この人に任せたい」と思われ、後者は「本当に大丈夫かな」と思われてしまうでしょう。ここで売られているのは「意見」ではなく「自分自身」です。
では、私たちは毎日、実際に何を売っているのか考えてみましょう。
(1)自分自身を売る:誰が言っているかが重要
人は「何を言うか」よりも「誰が言うか」で判断します。上司や経営陣は、全ての成果を細かく見ているわけではありません。だからこそ、「この人なら安心して任せられる」というイメージを売ることが第一歩です。
(2)問題を売る:課題を「見える化」する
どんなに良いアイデアでも、相手が「そもそも課題がある」と思っていなければ動きません。問題を「見える化」し、「これを解決することが大きな利益になる」または「これを放置すると大きな損失につながる」と伝えることも営業の一部です。これが企画書やプレゼンの目的のひとつです。
(3)解決策を売る:「これならできる」と思わせる
問題が明確になったら、「どう解決するか」に意識が向きます。ここで必要なのは、自分の強みや経験をベースにした現実的な提案です。単なるアイデアではなく「この人なら実行できそうだ」と思わせる解決策を売ることが重要です。
(4)成果(プロダクト)を売る:正しく、最大限に評価してもらう
どんなに質の高い仕事をしても、それが素晴らしい成果だと認識してもらえなければ評価されません。そして、仕事ができたら終わりではなく、それがどのように組織の役に立ち、どのような成果をもたらしたのか、正しくわかってもらう必要があります。そこに至るまでに「自分→ 問題→ 解決策」の営業ができていれば、成果物が最大限に評価される可能性が上がります。
20代後半から30代前半というのは、仕事が一通りできるようになり、任せられる人材へと移行するタイミングです。この時期に「実力さえあれば誰かが見ていてくれる」と考えていると、埋もれてしまいます。逆に、「自分は毎日営業している」と意識して行動する人は、周囲からの信頼を勝ち取り、大きなプロジェクトやポジションに抜擢されていきます。その後、30代〜40代の中堅からマネージャー、リーダーに移行する年齢では、自分だけでなく部下やチームの営業も重要な仕事になります。この考え方で50代を迎えるころには、営業努力が実ってかなりの実績を手にしていることでしょう。もちろん、今50代で今日初めてこの考え方を知った! という人でも大丈夫です。今からでもこの考え方で仕事をすることで、自分の意見が通りやすくなり、いつの間にか評判が上がっていくことを実感するでしょう。
セルフブランディングとは、誇張して自分を飾ることではありません。日々の小さな場面で、自分を、問題を、解決策を、成果を売るという意識を持つことが、キャリアを加速させる最初の一歩です。そして私たちが多くの時間を費やしている仕事やキャリアの充実は、人生の満足度、幸福度に大きな影響を与えます。そう考えると、ブランディングは、職業人生を充実させる重要なスキルであるとともに、人生の可能性を底上げするスキルだということが分かるでしょう。営業がすでに得意な人は、自分のスキルを前記の4つの営業にあてはめてみてください。セルフブランディングの状況が確認できます。営業が苦手という人は、これからの必須スキルとして、磨いていってください。
社会を変える土台としての「人の変化の構造」を体系化し、経営者・リーダー・医療者・教育者・芸術家など変化を起こす人材を育てている。
大阪大学人間科学部卒業後、米国の大学院で国際行政学修士号取得、米国の金融業界にてメガバンクヴァイスプレジデント、フィンテックシニアディレクターを歴任後、コーチとして独立。
現在は国内外の管理職・経営者・専門家に向けて、変容的リーダーシップと人間成長の技術を提供している。
著書に『なぜ、あなたは時間に追われているのか「時間がない」から解放される15の仕組みと思考法』(日経BP)。
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