洋服やハンドバッグ、時計を購入する際には、ブランドを意識して商品を見極める一方、マンションの購入となると、ブランドより立地や価格、交通機関へのアクセスなどをより重視する傾向がある。マンションにブランドが存在することを知らないでマイホーム購入を検討する人も多いかもしれない。しかし、不動産のディベロッパーは、ライフスタイルや家族構成などからターゲットを絞り込んだマンションを開発し、それぞれのブランド化を進めている。不動産各社のマンションの1平方メートル当たりの単価を基にして、マンションの高級ブランドランキングを取り上げよう。
マンション高級ブランドは三井不動産が圧倒
このランキングは、マンションの相場情報を提供する「マンションマーケット」が、2017年6月6日時点の東京23区内の中古分譲マンションを対象に、1平方メートルの単価を算出してランキングにまとめたものだ。ランキングのトップ10は次の通り。
順位 ブランド/会社/平均平米単価(十円単位未満を切り落し)
10位 プレミスト/大和ハウス工業/100万7000円
9位 ブランズ/東急不動産/101万6700円
8位 サンウッド/サンウッド/102万2900円
7位 パークナード/パナホーム/102万3100円
6位 ローレルアイ/近鉄不動産/103万6200円
5位 パークマンション/三井不動産/104万2900円
4位 オープンレジデンシア/オープンハウスデベロップメント/106万3800円
3位 パークリュクス/三井不動産/110万7500円
2位 プラウドタワー/野村不動産/111万4700円
1位 パークコート/三井不動産/114万9000円
ランキングでトップとなった三井不動産 <8801> の「パークコート」は、流行に左右されることなく落ち着いた品格のある邸宅で、良好な住環境に立地するブランドだ。ラグジュアリー感を前面に押し出すのではなく、上質な外観が街に溶け込むデザインが特徴で、高輪や二子玉川、麻布十番や六本木などの人気エリアでブランド展開している。その平均単価は1平方メートル当たり114万円9000円と、他を引き離した。具体的な物件では、パークコート虎ノ門愛宕タワーの29階2LDK(97.99平方メートル)の販売価格が1億8300万円と、まさに高級ブランドにふさわしい値段だ。
トップ10に3つのブランドがランク入りした三井不動産の強さが際立ったが、3位のパークリュクスは単身世帯、子供を持たない夫婦をターゲットに、1LDKと2LDKの間取りを充実させ、立地も都心の駅近くで、住居者のアクティブな都会生活をサポートする。5位のパークマンションは、日本が世界に誇れる最高級のマンションをコンセプトとして、千鳥ヶ淵や田園調布など都心の一等地に立地するブランド。同社はホームページ上で、ブランド別に不動産物件を紹介しており、業界最大手のネーミングだけに頼らず、ブランド力の認知度向上にも注力している。
不動産大手5社では明暗
2位にランク入りした野村不動産 <3231> のプラウドタワーは、文字通り誇りを感じられる住まいをコンセプトに、時代とともに変化する住居への価値に対応したブランドだ。ブランドの誕生は2002年と、まだ歴史は浅いものの、CMなどの効果もあり、そのブランド知名度は高いといえるだろう。不動産大手5社のうち、三井不動産、野村不動産のほかにランク入りしたのは9位の東急不動産 <3289> のブランズのみで、三菱地所 <8802> 、住友不動産 <8830> は、それぞれザ・パークハウス、シティタワーなどのブランドを抱えるが、今回紹介したランキングではトップ10入りは果たせなかった。
人生で最も大きな買い物となる不動産。ライフスタイルや家族構成に合わせて、ロケーションや間取りに気を取られがちだが、エルメスやルイ・ヴィトンなどのブランド商品が時代を経ても価値が受け継がれるように、マンションを選択する際にはブランドを意識してみることも、資産という観点からみれば、その価値を高める要素ともなるだろう。(ZUU online 編集部)