結果の概要:住宅着工、許可件数ともに前月から増加、市場予想を上回る

7月19日、米国センサス局は6月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は121.5万件(前月改定値:112.2万件)と、109.2万件から上方修正された前月改定値からさらに増加、市場予想の116.0万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を上回った(図表1、図表3)。

住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)も、125.4万件(前月:116.8万件)と、こちらも前月を上回ったほか、市場予想の120.1万件も上回った(図表2、図表5)。

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結果の評価:4-6月期GDPにおける住宅投資は前期比でマイナスの可能性

住宅着工件数の伸びは、前月比+8.3%(前月:▲2.8%)と4ヵ月ぶりに増加に転じた(図表3)。戸建てが+6.3%(前月:▲2.9%)と4ヵ月ぶりに増加に転じたほか、集合住宅も+13.3%(前月:▲2.4%)とこちらも6ヵ月ぶりに増加に転じた。また、前年同月比でも全体が+2.1%(前月:+0.3%)と前月が上方修正されたこともあり、2ヵ月連続の増加となった。戸建てが+6.6%(前月:+6.0%)と、こちらは16年9月以降、増加基調が持続する一方、集合住宅では▲4.5%(前月:▲5.7%)とこちらは4ヵ月連続で減少が続いており回復はみられない。

住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度は、南部が▲1.9%ポイント(前月:▲0.7%ポイント)と減少したものの、その他の地域では、北東部+6.4%ポイント(前月:+0.1%ポイント)、中西部+3.3%ポイント(前月:▲2.8%ポイント)、西部+0.4%ポイント(前月:+0.6%ポイント)と全ての地域で増加した(図表4)。

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住宅着工の先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が+7.4%(前月:▲4.9%)と3ヵ月ぶりに増加に転じたほか、前年同月比も+5.1%(前月:▲0.8%)と、こちらも増加に転じた(図表5)。

住宅着工許可件数(前月比)を戸建て、集合住宅でみると、戸建ては+4.1%(前月:▲1.9%)と4ヵ月ぶりに増加に転じたほか、集合住宅も+13.9%(前月:横這い)と3ヵ月ぶりに増加に転じた(図表6)。

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このように、住宅着工・許可件数ともに6月は再び前月比、前年比が増加となったほか、住宅着工件数は、過去2ヵ月分が合計2.8万件上方修正されており、モメンタムの回復がみられる。

一方、6月の住宅着工件数・許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比をみると、それぞれ▲21.9%、▲13.0%と2桁の減少となっていることが分かる(図表7)。このため、28日に発表が予定されている17年4‐6月期のGDPでは、前期2桁の伸びとなった反動もあり、住宅投資が3期ぶりのマイナス成長となる可能性が高い。

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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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