本記事は、頼藤太希氏の著書『臆病な人のための リスクが少ないお金の増やし方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
銘柄選びで欠かせない3つのポイント
銘柄選びにあたっては、まず次の3つのポイントを確認してみましょう。
(1)10年後、20年後も必要であり続けるか
企業が提供する商品・サービスが、10年後、20年後も必要であり続けるかを考えましょう。たとえば、人口問題や食料問題、資源問題などの解決を手がける商品・サービスは今後も有望です。「農業」「健康」「ヘルスケア」「美容」「医療」「ゲーム」といったテーマのニーズも普遍的でしょう。社会情勢の潮流に乗り、かつ今後も必要とされるサービスを提供している企業には成長性があります。
(2)生活を豊かで楽しいものにしているか
生活を豊かで楽しいものにする商品や役に立つサービスは、いつの時代も変わらずに売れ続けます。自分が「利用したい」「便利」と思える商品・サービスを提供している企業はヒントになります。消費者目線で商品やサービスをチェックしましょう。
(3)参入障壁の高い強みや成長・進化し続けるDNAがあるか
他社にとって参入障壁の高い、真似できない強みがひとつでもある企業は、成長の余地があります。たとえば、ある分野の商品・サービスのシェアが高い、特許を持っている、規模の大きいプラットフォームを持っているなどの特徴がある企業には成長性があります。また、人材育成、研究開発、設備投資、M&Aなどを行い、成長・進化し続けるDNAのある企業、未来に投資している企業も成長性の高い企業だといえます。
『会社四季報』をチェックしよう
企業の情報は各社のウェブサイトにある投資家向けサイト(IRサイト)や証券会社の銘柄紹介ページなどに掲載されていますが、何社も検索するのは大変です。そこで活用したいのが、東洋経済新報社が年に4回、3月・6月・9月・12月の中旬に刊行している『会社四季報』です。
会社四季報には、国内の株式市場に上場する企業全社の業績や財務状況などのデータが記載されています。さらに、2期先の予測が載っているのも嬉しいところです。また、各企業の記事欄には担当記者による見通し、今後の会社の事業戦略などがまとめられていて、情報収集をするのに非常に便利です。
会社四季報では、次のポイントをチェックしましょう。
(1)記事欄の【見出し】
「記事欄」の記事の見出しを確認して、業績好調を示す強い見出しを探しましょう。【絶好調】【最高益】【連続最高益】【高水準】【大幅拡大】などの見出しは、その企業の好調ぶりを示します。また、【独自増額】は、会社四季報の記者が取材の結果、「会社計画は保守的すぎる」と判断し、独自に予想を引き上げたことを指します。このような、四季報担当者が考え抜いたポジティブな見出しには注目です。
(2)業績欄の「売上高」「営業利益」
業績欄には、企業が商品やサービスを売ることで稼いだ金額の合計を示す「売上高」と、本業で稼いだ金額を表す「営業利益」が記載されています。過去3〜5期と予測2期分が記載されています。売上高と営業利益が右肩上がりになっているかを見てみましょう。
ポイントは売上高と営業利益が「両方とも」右肩上がりになっていることです。売上高だけが右肩上がりの企業は、損益面から見てあまり魅力的ではないビジネスを行っている可能性があります。また、営業利益だけが右肩上がりの企業は、人件費などの経費削減によるものと考えられます。企業の成長には「人財」が欠かせませんので、今後の成長が見込めるとはいえません。ですから、両方とも右肩上がりかを確認しましょう。
(3)業績欄の「EPS(1株あたり利益)」「1株あたり配当」
高配当株・累進配当株・連続増配株を選ぶ際には、業績欄の「EPS(1株あたり利益)」「1株あたり配当」も必ずチェックしましょう。
EPSは「1株あたり利益」といって、最終的な利益である当期純利益を発行済み株式数で割ったものです。簡単にいえば、EPSが多いほど稼ぐ力が高いといえます。EPSが年々増加していれば、堅実に成長していることを表し、増配の期待も高まります。
1株あたり配当が年々増加していることもチェックしましょう。配当利回りが高くなっている理由が1株あたり配当の増加であれば問題はありません。増配によって年々配当が増えるだけでなく、株価もさらなる上昇が見込めます。
(4)財務欄で安全性をチェック
財務欄では、企業の安全性をチェックしましょう。具体的には、次の項目を確認します。
- 自己資本比率 … 企業にあるお金のうち、返さなくていい部分(自己資本)の割合。50%以上だと安全性が高い(銀行業は業界平均で5%程度、リース業は15%程度が目安)。高すぎると成長性に難がある(適切な借金をして成長しようとしていない)ため、50%前後がちょうどいいライン。
- 有利子負債 … 企業が利子をつけて返さなければならないお金。少ないほど健全。
- 利益剰余金 … 過去の利益を積み立てたお金。高配当株・増配株・累進配当株の場合、利益剰余金が多いと利益が減った年でも配当が続くと予想される。
- 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF) … 本業で得られた現金の収支。本業が好調で、きちんとお金が回収できていれば営業CFが増加(プラスになっている)し、経営が安定するので、多い方が望ましい。
(5)業績予想の修正欄
業績予想の修正欄には、今号の四季報営業利益予想と前号の予想を比べた場合の増減が矢印で記載されています。「↑↑」(大幅増額:30%以上の増額)、または「↑」(増額:5%〜30%未満の増額)の企業は、業績がさらによくなる期待ができます。
会社四季報には記載されていませんが、「配当性向」も確認しましょう。配当性向とは、会社が利益(当期純利益)のうちどのくらいを配当金の支払いにあてたかを示す指標です。計算式は「1株あたり配当÷1株あたり利益(EPS)×100」。各社の決算短信などに記載されていますが、会社四季報の数字を使っても簡易的に計算できます。
配当性向が高ければ高いほど、多くの利益を株主に還元していることを表します。反対に、配当性向が低い会社は、株主への利益還元も少ないことを表します。
ただし、配当性向が低いことが悪いとはいいきれません。会社の利益は、株主に還元するだけでなく、会社の事業の拡大に使ったり、いつでも使えるように貯めておいたりすることにも使います。
一方で、配当性向が高すぎる銘柄は、今後の成長の余地が少ないと懸念されます。特に、業績が悪いにも関わらず、配当性向が100%近い場合は長続きしないでしょう。
配当性向の目安は、おおよそ30〜50%程度に収まっていること。株主への利益還元をしつつ、今後の会社の成長も見据えている会社が望ましいでしょう。
高配当株投資についてもっと学びたい方は『50歳からの「新NISA×高配当株投資」』(KADOKAWA)をぜひご覧ください。
中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)にて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『投資の解像度を上げる 超インフレ時代のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)など書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。
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