FinTechの推進などデジタル分野での取り組みが先駆的なことで知られるスペインのBBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)のデジタル・セールスが、総売上の22%に達した。第2四半期の決算報告で明らかになった。BBVAはスペインに本社を置くが、米国大陸などにも拠点を持っている。

デジタル改革の成功が追い風となり、資金運用利益は7四半期連続のプラス成長で44.9億ドル(約4968億円)。手数料など含めて前年比5.1%の伸びを見せた。2017年上半期の純帰属利益は23.1億ドル(約2556億円/25.9%増)という快挙だ。

BBVAの「世界一優秀なモバイル・バンキング・アプリ」

BBVAは「テクノロジーを通して、顧客にとってより良いソリューションを開発する」という信念の元、早い時期から真剣にデジタル改革に取り組んできた金融機関の代表的存在である。

Finextraの報じたところでは、フランシスコ・ゴンザレス・ロドリゲスCEOは第2四半期の決算報告会で、デジタル改革の快進撃に満足感を示すと同時に、自社が「転機に差しかかった」とコメントしている。

商品・サービスの4件に1つはデジタル・チャンネルを通した販売だそうで、自国スペインでも上半期だけで昨年1年分の需要があったという。

デジタル商品・サービスを利用している顧客およそ2000万人のうち1450万人はモバイル・バンキング顧客で、過半数がチリ、ベネズエラ、トルコに集中している。

フォレスター・リサーチ が“世界一優秀”と絶賛するBBVAのモバイル・バンキング・アプリは、「類まれな機能性」で高評価を得ている。

フォレスターは米国や英国を含む世界18カ国、53種類のバンキング・アプリを比較し、BBVAのアプリをNo.1に選んだ。

欧米で次々と新デジタル・ツールを発表

デジタル・バンキングのリーダーとしての地位を確立した後も、BBVAのデジタル改革は留まるところを知らない。

今年だけでもスペインで「スター・セグーロス」という保険証券をひとまとめにして管理できるデジタル・サービスの提供を開始したほか、メキシコでは「BBVAプラン」というファイナンシャル・プラン・ツールで、顧客が目標金額を貯蓄できるよう支援している。

トルコではAI(人工知能)によるアシスタント「MIA」、米国ではBBVAの顧客ではない消費者向けのデジタル融資など、新たなデジタルツールを次々と送り出している。

こうした貪欲なまでの改革精神が、業績につながっていることは言うまでもない。
スタートアップの支援にも熱心で、2014年に米国のSimpleを買収したのを皮切りに、英国のデジタル銀行アトムバンク、ベンチャーキャピタルのプロペル・ベンチャー・パートナーズ、メキシコのオンライン決済オープン・ペイといった、勢いのある若手企業を組織に組み入れている。

BBVAのデジタル・バンキングへの野望は、今後も尽きることがないだろう。ロドリゲスCEOは近年の金融機関によるFinTechに対する取り組みを、「ポジティブな流れ」と歓迎している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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