社内で企画案などを出す際になると、決まって「そんなのムリ」「できっこない」といった反対意見を言う人が必ずいる。

ある程度の規模の会社になると、たいていは社内派閥ができていて、お互いの足を引っ張る泥仕合を演じていることが多い。あなたもそうした社内の様子を横目に見ながら、ウンザリした経験が1度や2度はあるのではないだろうか。

もし、会議が紛糾した場合、たいてい上手くいかない理由というのは、お互いが自分の言いたいことだけを主張しているからである。相手に動いて欲しい時にはどうすれば良いだろうか。

そもそも「相手を説得しよう」とするのは間違い

社内政治,派閥,交渉
(写真=PIXTA)

相手が自分の意見を聞いてくれる人であれば、思い切り主張するのもいいだろう。しかし、自分も相手も「自分たちのほうが正しい」と思っている場合、平行線をたどるだけになる。

自分たちの正当性を主張したところで、相手が納得することなどほとんどないといっていい。だから紛糾した会議の結末は、おおよそ2つに分かれることになる。それは「自分たちの主張をする代わりに、ほぼ成果なしで終わる」か、「現実的な落としどころを探って歩み寄る」かのいずれかである。

大手一流企業の社長はこれだけ「若手に気を使っている」

私はサラリーマン時代に製造業の会社で社内ベンチャーを立ち上げ、アウトレット流通を創業した。当時から私が常々、会議を実りあるものにするために行っていることをご紹介したいと思う。

私は、会議に出る時は常に「相手が喜ぶポイントとは何なのか?」を探すことに集中している。相手とは、以前であれば親会社の役員や他部署の社員などであり、独立した今では直属の部下や取引先などになる。相手は変われど、会議ではいつも「自分たちがもっとも欲しい成果を手に入れるために、どうしたら目の前の人が動いてくれるのか?」ということを考えてきた。

別の例を挙げよう。元スターバックスコーヒージャパン株式会社CEOの岩田松雄氏が、『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』の中で、社内会議についてこう書いている。

岩田氏は、会議の時にはいつもできるだけ年次の低い社員の意見から聞くようにしているという。そうしないと、部下は上司とは違う意見を言い出しにくい。さらに、岩田氏は良い意見が出るようにと、部下の意見をよくメモするようにしているそうだ。CEOが自分の意見をメモしている姿を見ると、部下は喜び、こちらの気持ちに応えようと奮起するというのである。大手一流企業の社長ですら、これだけ若手の社員に気を使っているというのは、示唆に富む話ではないだろうか。

「反対者がいる」というのは、形勢が不利であることの証

私が社内ベンチャーを創業した当時、メーカーにとって流通は専門外であるため、スペシャリストは誰もおらず、「できるワケがない」「やめたほうがいい」という意見が渦巻いていた。

その時の経験を通じて感じたことをお伝えしよう。
否定的な意見を言う人が現れるのは、結局のところ「自分が勝ち馬だとは思われていない」ということである。勝ち馬とは「勝利者」のこと。人は派閥ができると、形勢を見越した上で、勝ったほうに味方し、その勝利に便乗しようとする者が必ず出てくる。人々が自分たちを批判するのは、そうすることによって形勢が有利な者のほうに付こうとしている証だ。

だからそういう人たちのことを「あいつらは何もわかっていない」と言っても何もはじまらない。自分たちの味方が少ないということは、それだけこちらの形勢が不利になっている、という事実に変わりはないことに気づいた。

それに気づいて以来、私は社内では絶対に仕事のグチは言わず、良い話しかしないようにしていた。ちなみに、自分が勝ち馬になったかどうかも、周りを見ればすぐにわかる。社内で「あいつはオレが育てたんだ」と自慢するような人々が現れるのが、その証拠だ。

「相手に動いて欲しい」時にはどうすればいいのか?

筆者が今回の話を通じてお伝えしたいのは、「人は力づくでは動かない」ということである。

たとえば他部署や部下などが、こちらの指示に対して「反応が遅い」とか「ミスをした」となったりすれば、相手を責めたくなるのが人の性だろう。しかしそれでは、残念ながら自分の欲しい結果は得られない。ビジネスにおいて、「自分は何が一番欲しいのか?」と考えた時に、それは必ず仕事の成果であるはずだ。相手を責めても、やる気を削ぐだけで終わる。

もし、他人に「協力してもらいたい」「自分の代わりに動いてもらいたい」と思うのであれば、相手が「自分から動きたい」と思えるようにするのが一番である。しかも良い結果を出したければ、相手に気持ち良く動いてもらうことが何よりも大切だ。このことに気づき、常にそれについて考え、行動している人が、マネジメントにおいても、商売においても成功できる人なのである。

俣野成敏 (またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

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