丸井はもはや「百貨店では無い」8期連続増益の理由

丸井といえば赤いカードを武器に若者に割賦販売を普及させ、デザイナーズ・ブランドなどで若者のファッションをリードするオシャレの象徴だった。いつの間にか丸井は小売りよりも金融事業が中心会社になっている。時代に合わせて変革している丸井グループの現状に迫ろう。

小売業から変革する丸井グループ

マルイ,丸井
(写真=PIXTA)

丸井グループ <8252> の業績は好調だ。本業の利益を示す営業利益は10年3月期以降17年3月期までで8期連続増益となっている。競合する百貨店などの小売業がデフレで苦しんでいたのと同様に小売り事業は厳しいが、小売り事業のSC化、フィンテック事業を伸ばすことで増益を続けており、今期も9期連続営業増益を見込んでいる。

売上や利益ではいまだにバブル期を越えることは出来ないが、会社の内容は既存の小売業から完全に変革したといってもいいだろう。

17年3月期の丸井グループの営業利益のセグメント別の内訳をみると、小売り事業が107億円と前年比27%減、フィンテック事業は271億円と同17%増だった(内部消去があるため会社全体の営業利益とは一致しない)。

もともと丸井の創業ビジネスである小売り事業の営業利益構成比は22%まで低下、フィンテック事業が78%になっている。もはや丸井の収益を支えているのはフィンテック事業だ。

丸井の「フィンテック事業」とは?

主にエポスカードのクレジットカード部門がフィンテック事業である。17年3月期の総取扱高は1兆7232億円に達し前年比17%増だった。07年3月期の3549億円から年平均で17%伸びている。取扱高が増えているのは、丸井の「売り」である分割販売を拡大しているためだ。今まで分割利用の可能な加盟店は約1万店だったが、16年3月から一気に100万店以上に拡大した。その結果、加盟店でのリボ・分割の利用が前年比27%増加した。

17年3月期のエポスカードの新規会員数は74万2000人と前年比2%増だったが、計画の80万人を下回った。グループ内カードは4%増と好調だったが、グループ外の提携カードが不振だった。丸井では今後も継続的な新規会員増を実現するために、電子商取引などEC・サービス・コンテンツ系との提携カードを拡大して行く戦略だ。中期経営計画では、21年3月期にはフィンテック事業で営業利益400億円を目指している。

小売り事業ではショッピングセンター化を目指す

丸井は、元来テナントとは売り上げの増減で収入が変動する「百貨店型」の契約だった。これを安定収益化するために定借料の「ショッピングセンター型」に切り替えはじめた。14年の丸井・町田店を手始めに、15年には旗艦の渋谷店をSC型に切り替えた。17年3月期のSC・定借化率は62%にまで達し、SC・定借化による17年3月期の利益改善は前年比20億円の寄与になっている。今後もSC・定借化を進め19年3月期には100%を目指している。100%に達すれば利益改善はさらに40億円上積みになる見込みだ。

SC化を進めるにあたり、16年3月期から小売り事業の売上高を、「総額表示」から、原価控除した「純額表示」に会計基準を変更した。売上が見かけ上大きく減少しているのはそのためだ。

コト消費とオムニチャネル化をすすめる

定借化の進行とともに、SC型の店舗ではアパレルが多かった売り場の構成を見直し、セミナーなどのイベントスペースを確保し、飲食店やサービスなどのスペースを増やしている。

「モノ」消費から「コト」消費へとカテゴリー構成が変わってきている。「アパレル(モノ):雑貨(モノ):飲食・サービス(コト)」の比率は、14年3月期の「53:33:14」から17年3月期には「33:40:27」まで変化した。コト消費が増え、モノ特にアパレルの比率が下がった。

この変化で、モノ消費の停滞やEC化の進展による対面販売市場縮小の影響を受けづらくなる。

同時にオムニチャネル化も進めている。オムニチャネルとは従来の販路だけでなく、インターネット通販やスマホ決済によるチャネルを一貫して行う小売り戦略である。丸井のEC総取扱高は213億円とまだ小さいが5%の伸びと好調。

さらに拡大化すべくKDDI <9433> と協業しネットショッピングモール「Wowma!」に参画した。17年2月より「Wowma!」のブランド・ファッション売り場を運営する。EC取扱高は18年3月期で240億円を見込んでいる。EC販売は将来的には営業利益率20%と高採算を見込んでおり成長には欠かせない。

株主へ応える会社として成長

丸井は昔ながらの百貨店形態と決別することで新たに堅実な成長をはじめた。この変革は小売業の新形態といっても良さそうだ。今期で9期連続営業増益を見込んでいるが、配当も今年も17年3月期の33円を37円に4円増配する見込みで6期連続の増配を見込んでいる。16年3月期までは配当性向を30%以上にしていたが、17年3月期からは40%以上とした。

自社株買いも15年3月期に150億円、16年3月期に350億円、17年3月期には200億円実施した。18年3月期は150億円を見込んでいる。自社株買いを含めた総還元性向は113%になる見込みだ。変革を続ける丸井の未来に今後も注目していきたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)