2016年1年間に京都市を訪れた宿泊客数、観光客が支払った消費額が、ともに過去最高を記録したことが、市のまとめで分かった。中国、台湾などアジア圏からの外国人観光客が増えたためで、市営地下鉄の2016年度乗客数(速報値)が経営健全化計画で定めた目標を2年前倒しで達成するという、うれしい波及効果をもたらしている。
その一方で、無許可民泊施設に宿泊した観光客は、修学旅行客とほぼ同程度と推計された。宿泊施設の稼働率が高止まりし、泊まりたくても泊まれない状況が続いていることも一因とみられ、市は対応に苦慮している。
観光消費額は初めて1兆円の大台を突破
市観光MICE推進室によると、2016年の宿泊客は1415万人。前年の1362万人から3.9%増え、過去最高を記録した。このうち、外国人宿泊客は318万人で、こちらも前年の316万人を0.6%上回って過去最高。ともに無許可民泊施設の宿泊客を含んでいないため、実数はさらに多いとみられている。
宿泊、日帰りを含めた観光客の推計数は5522万人。前年の5684万人より2.9%減ったものの、3年連続で5500万人を超えた。減少したのは日本人の日帰り客だけで、日本人宿泊客、外国人の宿泊、日帰り客は前年より増えている。
観光消費額は初めて1兆円の大台を突破し、過去最高の1兆862億円に達した。前年の9704億円に比べて11.9%増え、市が2020年の目標値として設定していた1兆円を4年前倒しで達成している。1人当たりの消費単価も過去最高で、宿泊、買い物、飲食の伸びが影響して1万9669円を記録した。宿泊客だけでなく、日帰り客の消費額も前年を上回っている。
市内で開催された国際会議は、政府観光局の基準を満たしたものだけで前年比23.4%増の269件。参加者は19万9178人に達し、過去最高を3年連続で更新した。うち2万6339人を外国人が占めている。個人やツアーの観光客だけでなく、国際会議の増加も市内の観光消費額を押し上げたとみられる。
旅館業法に基づく市内の宿泊施設定員数は2016年度末で前年度末より16.7%増えたものの、2016年の宿泊施設稼働率は89.1%に達した。前年の89.3%より0.2ポイント下がったとはいえ、予約を取りにくい状況に変わりない。外国人観光客を対象としたアンケートでは、15.9%が「京都に泊まりたいのに、泊まれない」と答えている。
市観光MICE推進室は「外国人観光客の96.9%が京都に満足したと喜んでおり、今後も京都を訪れる外国人観光客は高い水準を維持しそうだ」と笑顔を見せた。