化粧品大手の資生堂 <4911> の株価が8月11日、前日比13.77%と大幅に上昇した。最近は、昔流行した化粧品が若い女性の間で再燃したり、30歳代の女性向けにアニメコラボ商品の販売を行うリバイバルが話題となったりしている。しかし、ここにきて株式市場の間では化粧品企業の業績が好調なことが話題になることも多くなっている。

化粧品業界全体が飽和状態に陥る中、勝ち組企業とそうでない企業の業績格差はますます広がっているようである。ここでは、勝ち組化粧品企業の現状を分析し、その秘密を探っていきたい。

化粧品の売上高 大手2社が売上を伸ばす

資生堂,コーセー
(写真= 360b/Shutterstock.com)

化粧品業界の中で上位の売上高を出すのが以下5社をみていこう。

1. 資生堂 <4911>  8503億円
2. 花王 <4452>  6086億円 (ビューティケア事業)
3. コーセー <4922>  2667億円
4. ポーラ・オルビスHD <4927>  2184億円
5. マンダム <4917>  773億円

化粧品部門における売上高では資生堂と花王が2大巨頭、コーセー、ポーラ・オルビスHDがそれに続く。

花王は主力のヘルスケア部門を除く、ビューティケア部門に絞って紹介している。同社はもともと洗剤やトイレタリーといった生活用品を主力として扱う企業であったが、化粧品部門においてブランド力を高めるためにカネボウをグループ傘下に置いた。残念ながら売上高は微減(前年比1%減少)となってしまっている。

実績ベースでみると大きく売上高を伸ばしているのは、資生堂(前年比11.4%増)、コーセー(前年比9.6%増)の2社の模様だ。一方で、ポーラオルビスHD(前年比1.7%増)は売上高を伸ばしているものの若干伸び悩みがあったようだ。

全体的に化粧品業界の売上高は伸びているようだが、その中でも資生堂とコーセーの強さが際立っているようである。以下それぞれの直近業績の概況を見ていこう。

インバウンド需要が好調 資生堂 <4911>

資生堂は、8月11日に第2四半期の業績を発表。好調な数字とともに通期予想を上方修正。また増配を発表している。売上高は前回予想の9400億円から9650億円へ、純利益は260億円から325億円へと大幅な修正となっている。

第2四半期まで好調な理由として、以下の理由が挙げられる。

1. 国内事業にて売上高10%増加の2086億円となった。中国人顧客に対するボーダレスマーケティングの成功によるインバウンド需要の取り込み

2. 中国事業にて「SHISEIDO」などのプレステージブランドが高成長、Eコマース売上が牽引して大きく売上高13.7%増加の687億円となった。

3. アジアパシフィック事業では、プレステージブランドの伸びに合わせて、「SENKA」を中心としたパーソナルブランドが寄与して、15.2%増加の258億円となった。

4. 欧州事業では、フレグランスブランドが大きく伸びると同時に、「Dolce&Gabbana」とのライセンス契約による上乗せ分もあり、27.1%の大幅な増加で538億円となった。

国内でも海外でも海外の顧客頼みでありながらも着実に売上を伸ばしていることがわかる。インバウンド業界は一時期伸び悩みが見られていたが、資生堂においては未だブームの最中の模様だ。

買収が功を奏したコーセー <4922>

コーセーは7月31日に第1四半期決算を発表(資生堂とは本決算が3ヶ月ずれる)。

通期の上方修正はなかったものの、四半期ベースでは好調を維持。その理由としては北米事業での買収が功を奏しているようだ。以下が四半期ベースでの業績の概要と好調の理由である。

1. 国内事業にて、百貨店需要の他にドラッグストアチャネルも好調で、4.3%増加の541億円となった。

2. アジア事業では主に中国、韓国が好調、それ以外も概ね好調に推移して38.1%増加の69億円となった。

3. 米国事業では、買収した米国タルト社の販売が売上に貢献し68%増加の89億円になった模様。

4. その他、売上では欧州、豪州などでタルト社の販売が好調で、322.8%増加の6.5億円となったようだ。

資生堂とは異なり、国内事業の伸びはそれほどでもないが、アジア圏では韓国での好調、そして売上規模は小さいながらもタルト社買収による欧米での売上貢献が大きいと思われる。

今後は国内顧客開拓も求められるか

業績好調の2社の理由を探ってみた。資生堂は海外顧客獲得に成功し、コーセーは買収に成功というものだ。

裏を返してみると、国内の日本顧客向けのマーケティングに関しては、苦戦しているということになりそうだ。とくに10代、20代の若者に関しては、安いコスメブランドに流れやすいため、高級ブランドがどう若者を見込み客として獲得していくのかが課題となるだろう。

今後は、自社の強みにプラスアルファを加えたブランディング戦略が必要となってくるだろう。化粧品業界の今後の動きに期待したい。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある

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