日経平均予想レンジ19,547~20,000円
今週は、北朝鮮情勢の緊迫化懸念の和らぎを背景とした、米国株高や円安進行が追い風となり、日経平均は3日続伸を絡め8/9以来の高値水準19,918円まで買い進まれた。その後、三連休を控えてもみ合う中、北朝鮮がミサイル発射を強行したが、市場は冷静に受け止め、19,900円台を回復して取引を終えた。
海外の焦点
北朝鮮リスク、円高懸念、米債務上限問題の三重苦が後退したことで、買戻し主導による踏み上げ相場の様相を強めた。日経平均は上値意識された25日線を上抜け、75日線をも回復した。米国では、ハリケーン「イルマ」による経済損失が想定より小さく収まるとの見方や、法人税減税案が年末までに議会を通過するとの期待など、投資家心理の改善でリスク選好意欲が回復してきた。NYダウは8/17高値を抜き史上最高値を更新。ナスダック指数も9/1以来の最高値を塗り替えた。
注目の国連安保理は12日、北朝鮮に対する追加制裁決議案を全会一致で採決した。北朝鮮から繊維輸出禁止や北朝鮮への石油・石油精製品の輸出制限(年間200万バレル上限)などを盛り込んだ。米国は当初石油の全面禁輸や金正恩委員長の渡航禁止、資産凍結など、より厳しい決議案をまとめていたが、中国とロシアの支持を得るために原案より内容を緩めた格好だ。これに対し、北朝鮮は「米国に対抗するための力の強化に一層努める」と威嚇している。
国内の焦点
経済統計では、11日内閣府が発表した7月機械受注統計は民需の受注額の伸びが顕著で、前月比8.0%増(予想4.4%増)の8,533億円と4カ月ぶりに大幅増加した。又、13日発表の7-9月期法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数はプラス5.1%となった。プラスは2四半期ぶりで、製造業の改善(プラス9.4%)が牽引した。財務省は「緩やかな回復基調が続いている」と判断しており、足元の経済情勢の堅調さを窺わせている。
テクニカル面では、8/7以来25日線を回復。9/6、9/8安値で短期的なダブルボトムを形成して底入れ感は強い。25日線が上向きに転じたことで200日線とのデッドクロスは回避される状況となっている。ただ、三空形成でいつスピード調整がおきてもおかしくない点は考慮しておきたい。
来週の株式相場
以上、来週は投資環境改善を背景に日米金融会合を見極める展開。日経平均は上昇転換の25日線をサポートとした値固め局面から上値余地を探る展開と捉えている。日経平均のレンジは上値は節目の2万円が意識され、下値は25日線19,547円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト