中国では、今後俳優の報酬を制限するという。もちろん国家の意志である。国家新聞出版広電総局など5部局が連合で発布した“関于支持電視劇繁栄発展若干政策的通知”に対応した動きだ。経済ニュースサイト「界面」が伝えた。中国のテレビドラマ界には、すぐれたコンテンツが不足している。これは誰もが認めるところだ。一方の製作部門にはどうのような問題があるのだろうか。
「スター中心制」からの脱却
中国電視劇行業協会は、9月末に「限酬令」を発布した。全俳優の出演料は、総製作費の40%までに限る。主要な俳優への報酬はそのうちの70%に限るというのが骨子である。放送局は、スターの出演料を製作費の基準にしてはならない。これは近年、俳優の高報酬と国産ドラマの低品質が、大衆に悪影響を与えている、という問題意識が背景にある。“スター中心制”は膨張しすぎた。
公開された資料によれば、主演俳優への報酬は、製作費の50~80%を占めているという。トップクラスの出演料は次のようになっている(1元=16.95元)。
「一路繁花相送」という作品では、主演・鍾漢良の出演料は5000万元、同じく江疏影は658万元だった。「那年花開正圓」では、主演女優・孫儷(スン・リー)の出演料は6048万元、同じく陳曉は2750万元だった。「夏至未至」では、主演・陳学冬の出演料は4200万元だった。
2004年、日本でオンエアされたサントリーのCM(ウーロン茶)にも出演している孫儷の1話当たりの出演料は、6年間で5倍になっている。2011年には30万元、2015年は85万元、2017年の「那年花開正圓」では150万元にまで高騰した。