2016年度版の中小企業白書によれば、2015年の第四半期における中小企業の経常利益は5.2兆円、売上高は126億円と推移しています。リーマンショックの影響から徐々に回復の傾向が見られ、経常利益においては過去最高水準となっているものの、売上高についてはまだまだ伸び悩んでいるのが現状です。今後、中小企業が成長していくためには、適切な資金繰りをすることが必要不可欠です。今回は、フリーキャッシュフローの重要性についてご説明します。

フリーキャッシュフローとは

FCF
(写真=designer491/Shutterstock.com)

「フリーキャッシュフロー」とは、企業が稼いだお金から、現在の事業に必要な投資資金を差し引いた残金のことです。つまり、フリーキャッシュフローは経営者の判断によって自由に使えるお金であり、今後の企業の継続・成長のためにとても重要な資金源となります。

フリーキャッシュフローにはいくつかの計算の仕方があり、統一された計算方法はありません。一般的な方法の一つとしては、営業キャッシュフロー(会社が本業の営業活動によって稼いだお金)と投資キャッシュフロー(現事業の維持・事業の新規開拓・余剰資金の運用など)を合計して算出する方法があります。

そもそも投資キャッシュフローは、マイナスになる傾向があります。例えば投資のために固定資産を購入した場合、投資キャッシュフローはマイナスになりますが、逆に固定資産を売却した場合には、投資キャッシュフローはプラスになります。そのため、フリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いて算出する場合が多いでしょう。

フリーキャッシュフローを生む秘訣とは

フリーキャッシュフローは、その企業の経営状態を表す鏡のようなものです。フリーキャッシュフローが多い企業ほど、経営がうまくいっていると言えるでしょう。

フリーキャッシュフローを生む秘訣は、大きく分けて4つあります。

1. 入金が早いタイミングで行われるように工夫する

即日請求書発行、一括入金、前受金(予約販売や内金)の依頼、支払い遅延業者に対する値上げなど、早いタイミングで入金されるように社内の業務を改善していきます。

2. 確実に入金されるように工夫する

入金日即日の入金チェックと督促体制の強化、現金支払いや現金化のタイミングが早い顧客への割引、不採算事業の売却等による早期現金化など、確実に多くの現金を入金できるように改善していきます。

3. 出金の額をなるべく少なくなるように工夫する

社内における経費節約を推進する、見積もりを取ってなるべく少額で済ませる、不要な借入れ等の資金繰りを見直すなど、余分な出費を改善していきます。

4. 出金のタイミングがなるべく遅くなるように工夫する

末締めの翌々月末支払いにする、備品は常に購入ではなくリース契約にする、仮払いではなく立替精算にする、経費精算において法人カードを利用するなど、なるべく支払いのタイミングが遅くなるようにします。

以上の項目の中には、社内で改善できることだけではなく、社外で交渉が必要なものもあります。しかし手元にあるお金が多いほど、よりよい企業運営ができるようになります。そのために、資金繰りが必要といえるでしょう。

ポイントは成長事業に投資をすること

中小企業は、全体的に人手不足感が強く、さまざまな投資を後回しにしている傾向があります。そもそも、中小企業の経営者は高齢化の傾向にあり、投資においても保守的な考えが根強く、設備の老朽化が進んでいます。

またIT投資についても進んでいるとは言えない状況です。2016年度版の中小企業白書によれば、IT投資を行わない理由として、ITに詳しい人材がいない(43.3%)、導入効果が分からない・評価できない(39.8%)をはじめ、IT導入に関して消極的な中小企業がいまだに多くなっています。

しかし、中小企業のうちの高収益企業ほど、「IT投資において有益な効果があった」と感じている割合が多く、特に営業力・販売力の強化、売上の拡大、業務プロセスの合理化・意思決定の迅速化について顕著な差が見られました。今後の収益アップにはITへの投資は必要と言えるでしょう。

投資がなければ成長は望めない

中小企業の維持や今後の発展を望むなら、投資について十分に知識を深める必要があります。毎年コンスタントに営業の収益がアップしているからといって、現状に甘んじていては危険です。数年後にはその事業自体が衰退している恐れも十分に考えられます。次なる展望に注力しながらもうまく資金繰りを進めることは、企業のさらなる飛躍へと繋がるでしょう。(提供: ビジネスサポーターズオンライン

※当記事は2017年7月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。

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