金融安定政策委員会(FPC)が実施したストレステストの結果から、イングランド銀行(BoE)は「金利や失業率が急上昇した場合、クレカ、個人ローン、自動車ローンによる英国の銀行の損失総額が、300億ポンド(約4.5兆円)に達する危険性がある」と警告を発した。
英国で深刻化する家計負債の膨張を受け、既に銀行に114億ポンド(約1.7兆円)の資本増加を命じていたが、さらに100億ポンド(約1.5兆円)上乗せするよう要請。英国の消費者の無担保債務は2016年9月の時点で、総額3490億ポンド(約53兆円/英労働組合TUC調査)に達している。
無担保債務は銀行に巨額の損失をもたらす時限爆弾
英国の消費者による重度の無担保融資依存に対しては、以前から警鐘が鳴り響いていた。BoEは最新のリスク・アセスメント後、万が一の事態に備えて、銀行に追加資本の積み増しを命じた。
「消費者金融が家計負債を占める割合は11%であるため、経済成長という点では深刻なリスクには成り得ない」と比較的客観的な見解を維持しているものの、銀行にとっては致命傷となりかねない危険性を懸念している。
歯止めのきかない無担保債務の膨張は、景気低迷に突入したが最後、銀行に巨額の損失をもたらす時限爆弾である。これらの融資の多くが、たちまち債務不履行に陥ることが予想される。
それに加え、20兆ポンド(約3010兆円)相当のデリバティブ取引など、Brexitが今後金融市場に与える影響についても懸念は増すばかりだ。