米国の大手量販店Targetが、チェーン小売店としては初めて最低賃金を15ドルに引き上げると発表した。2020年を目途に実施される予定だ。Targetは総合ディスカウントチェーン店で、現状では最低賃金は10ドル。

優秀な人材の確保と育成に向けた戦略であるほか、Amazonやウォルマート、マクドナルドといったほかの大手で見られる低賃金労働への社会的批判や圧力を意識しての決断かと推測される。CNBCが報じた 。

ファーストフード店の従業員から広がった最低賃金引上げ運動

ワシントンなど一部の州では最低賃金が平均より高く設定されていたものの、米国の連邦最低賃金は2009年以降、長年にわたり7.25ドルで凍結していた(NELP.orgより )。

しかし2012年、低賃金を理由にニューヨークでファストフード店の従業員がストライキを起こしたのを機に、賃金引上げへの動きが全米に広がることになる。

小規模ながらもファストフードセクターでは史上初のストライキであったこと、ストライキの中心となった労働者が労働組合に加盟していなかったことなどが世間を驚かせ、それと同時に大きな波紋を投げかけた。

翌年には市長選を予定していたシアトルが、米国で初めて最低賃金15ドルへの引き上げに踏みきった。2017年4月の時点で、ターゲットが拠点地とするミネソタを含む18%の州が、同様の改善策に乗りだしている。