業界最大手の「あきんどスシロー」と業界5位の「元気寿司」 <9828> が経営統合に向けた協議に入るというニュースが飛び込んできた。

この統合協議は、元気寿司の親会社である米卸の最大手の神明が主導し、あきんどスシローを運営する「スシローグローバルホールディングス」 <3563> の株式を取得して、落ち込むコメの消費量拡大を図る。今回の統合協議で今後の回転寿司業界の勢力図はどのように変わっていくのか。

スシローとライバル社の差が体一つに拡大

(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

新メニューや店舗のブランディングで激しい競争を繰り広げる回転寿司チェーン各社だが、直近の各社の有価証券報告書からの売上高ベースで比較すると、あきんどスシローが1477億200万円と業界のトップを走る。

その背中をくらコーポレーション <2695> が運営するくら寿司が売上高1136億2635万円、ゼンショーホールディングス <7550> が展開するはま寿司が売上高1090億9300万円で激しく追っている構図だ。

今回、統合協議に入る元気寿司は、売上高は業界5位の349億円で、あきんどスシローとの統合が実現すれば、両社での売上が1826億円となり、2000億円の大台も近づくとともに、スシローと2、3位のくら寿司、はま寿司との差が、現在は頭一つほどだが、体一つほど抜け出ることになる。

【回転寿司チェーン各社の売上高】

順位/店舗/売上高
1. スシロー/1477億200万円
2. くら寿司/1136億2635万円
3. はま寿司/1090億9300万円
4. かっぱ寿司/794億2200万円
5. 元気寿司/349億3657万円

海外市場展開に向けたベストパートナー

業界トップを走るスシローは、国内で466店舗(17年6月末時点)を展開し、2位のくら寿司の385店舗(16年10月末時点)に大きく水をあけている。経営統合で元気寿司の148店舗(17年3月末時点)もネットワークに加わる見込みだが、消費者の節約志向、少子高齢化による労働力減少に伴う人件費の高騰、回転ずし業界のみならず他の飲食業界との顧客の争奪戦など国内のマーケットの先行きには不透明感が漂う。

こうしたなか、各社にとって成長戦略として取り込みたいのが海外市場だ。近年の世界的な和食ブーム以前から、寿司は代表的な日本食として人気を集めたが、どちらかといえば、高級な食事としての市場が先行し、手軽に楽しめるものではなかった。

最大手のスシローにおいても、海外ではわずか8店舗(16年10月末時点)の展開にとどまる。和食のブームに乗って、お手頃価格で寿司を楽しむことができれば、回転寿司の海外展開にも道が開けてくる。

スシローが統合に向けたパートナーとして元気寿司を選んだ理由の1つとして、その海外ネットワークが挙げられるだろう。元気寿司は、アメリカや中国、インドネシア、フィリピン、カンボジアなど積極的なネットワークを構築し、海外店舗は158店舗(17年3月末)と、国内店舗数を上回っている。海外の和食レストランで底堅い人気を誇る寿司だが、アジアを中心とする新興国の所得水準が向上し、回転すしチェーンの海外展開の強化が進めば、手軽に人気の寿司に手が届くことで顧客の対象も広がり、さらなる成長が期待できるだろう。