●カタルーニャ自治州の住民投票は、独立派が圧勝。一方、スペイン政府はこれを違憲として退けている。この混乱がユーロ、株、債券全ての上値を抑えている。

●独立は金融面で問題山積で、スペイン政府との交渉で穏便に収束するシナリオが合理的。但し、他地域での独立成功例もあり独立の気運が長期間燻る可能性は排除できず。

●仮に独立運動が続き、イタリアやスコットランドに影響が波及するとしても、足元の大混乱は沈静化の方向。リスクが波及するとしても、かなり先の話で、まずはECBの金融政策正常化が先行するだろう。ユーロ、欧州株、債券いずれも当面強気。

カタルーニャ州住民はスペインからの「独立」を選択

10月1日のスペイン・カタルーニャ自治州の住民投票では、独立賛成派が9割を占める大勝となった。州政府は週明けまでに独立宣言を行うべく動いている。一方、スペイン中央政府はこれを阻止すべく、自治権停止を示唆している。現地では依然デモ等の混乱が収まらない。

これらの動きを受け、スペインの株価は大きく下落し、欧州株も若干頭を抑えられている(図表1)。また、スペイン国債利回りは、ドイツなど欧州金融機関のリスクが懸念されていた2016年2月以来の1.7%台に上昇した(価格は下落、図表2)。ユーロも一時期の上昇が一服している(図表3)。

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しかし、下記の通り、独立は金融面で相当な困難を伴う。このため、「独立」を宣言するとしても、実際には、独立を強行する以外の落としどころをスペイン政府と交渉するというシナリオが合理的だと思われる。