騰訊(テンセント)の保険業に対する熱情は不滅のようだ。出資した新しい保険会社が許可され、同社のインターネット保険業に対する意欲は、いよいよ明確になったと経済ニュースサイト「界面」が伝えている。その“熱情”の正体とは何だろう。

台湾系損保と共同で新会社設立

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(写真= testing/Shutterstock.com)

中国を代表するネットビジネス大手の騰訊(テンセント)は、台湾系損保会社「富邦財険」と共同で、深セン微民保険代理公司を設立し、9月末に保険監督管理委員会の正式批准を得た。許可が下りたのである。

データによると、微民保険代理公司は、2016年10月に登録された「家点保保険代理有限公司」が今年1月に改称されたもので、登録資本金は2億人民元、総経理(社長)は、元富邦財険の副総経理(副社長)である。

大株主は騰訊旗下の全額出資子会社「北京譯碼神通信息技術有限公司」が57.8%、富邦財険31.1%、残り11,1%は「国開博裕株式投資管理有限責任公司」というコンサル会社である。

富邦財険は,中台の両岸経済合作框架協議(ECFA)発効後、最初に営業許可を取得した保険会社である。しかし2010年設立以来欠損が続いている。2016年の欠損は1億4400万元だった。新しい展開を必要としていたところだ(1元=17.0日本円)。

騰訊の狙いとは?

今年7月騰訊は、富邦財険の親会社、台湾第二の金融グループ富邦金控と直接交渉し、富邦財険の開発あるいは導入している保険商品の微信プラットフォーム上での販売承認を取り付けた。

業界の推測によると、新会社・微民保険代理の販売モデルは、アリババグループのアントフィナンシャルが支付宝プラットフォームで販売している第三者保険の販売代行に近いものになるとみられる。

しかしSNS・微信の流量は巨大だ。これを支えている技術的背景もまた強大で、これは微民保険の大きなアドバンテージになる。

ただし支付宝の保険販売は早かった。これもまたアドバンテージである。微信銭包(サイフ)サイトにはまだ保険商品への入口はまだない。

出遅れた騰訊は、アリババと同じように他人の保険商品を売るだけでは弱いと見て、自社グループの保険商品を売ることにこだわったのだろう。新展開を欲していた富邦との利害は一致する。

出資攻勢続く

2013年、騰訊とアントフィナンシャル、中国平安(大手保険会社)は共同で、初のネット保険会社・衆安保険を立ち上げている。衆安保険は順調に成長し、今年9月末には香港市場へ上場するまでになった。最近の市場価値は1200億香港ドルである。(1香港ドル=14.3日本円)これは大きな成功事例だ。

騰訊は2017年に入り、出資攻勢を強めている。英国の保険大手アビバによると、香港で成長中の某保険会社の株式をアビバ40%、騰訊20%で保持するという。また2月に山東省・済南で設立された生保「和泰人寿」にも15%株主として顔を出している。同社はネット販売専業の新型生命保険会社を目指すという。騰訊の後ろ盾は心強い。

中国の保険とは、日本より金融商品としての比重が高い。税制や相続に有利と見られていて、金持ちは特に好む。騰訊は、こうした保険会社のネット化を主導したいようである。保険業界の風雲児となれるのだろうか。今後に注目である。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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