韓国のテクノロジー大手サムスン電子が10月13日、第3四半期(7〜9月期)の業績予想を上方修正した。営業利益は前年同期比2.8倍となり史上最高益を更新する見込みだ。サムスンの業績動向や設備投資は世界のハイテク企業のベンチマークになる。決算傾向を分析していこう。
半導体部門の採算改善が大幅増益に寄与
サムスン電子の第3四半期の実績見込みは、売上が前年同期比29.7%増の62兆ウォン(約6兆1500億円)、本業の利益を示す営業利益が同2.8倍の14兆5000億ウォン(約1兆4380億円)となる見込みだ。アナリストコンセンサスの営業利益14兆3000億ウォンを2000億ウォン上回り過去最高益を更新する。前四半期比でも2.8%増と第2四半期の14兆1000億ウォンから増加する。
今回のガイダンスの開示では最終利益やセグメントの詳細は発表していないが、半導体部門の収益拡大が利益を押し上げたことは明らかだ。正式な決算発表は10月末を予定している。
サムスンの16年12月期通期のセグメント別の売上構成比は、家電部門が21%、携帯電話部門が44%、半導体部門が23%、ディスプレイパネル部門が12%だった。
収益増に最も貢献したのは半導体部門だろう。NANDやDRAMの需要が好調で市場価格も値上がりしており採算が大きく改善した模様だ。IoTやAIといった新世代のテクノロジーが普及期を迎え、世界的に半導体需給がタイトになっている。
携帯部門も好調だ。アップルに先駆けて9月にリリースした17年モデルのギャラクシーS8やギャラクシーノート8の売上が乗ってきている。ギャラクシーノート8は同シリーズで過去最高の予約台数になっている。昨年の同部門はギャラクシーノート7のバッテリー発火によるリコールで悪化していた。
ディスプレイパネル部門も、アップルのiPhone8、iPhoneXに提供している有機EL(OELD)が売上に寄与し始める。特に有機ELの寄与度は第4四半期に拡大する見込みだ。
ドル高・韓国ウォン安も採算の改善に貢献している模様だ。