企業は、従業員に対して福利厚生サービスを提供しています。福利厚生は、「法定福利」と「法定外福利」に大別され、法定外福利は各企業が任意で実施するサービスのため、従業員のニーズに合わせたさまざまなプランが用意されています。

そして一部の企業では、法定外福利サービスを代行する業者を利用し、経営コストを考慮しながら福利厚生を充実させています。福利厚生代行サービスについて知り、利用を検討してみましょう。

(写真=garagestock/Shutterstock.com)
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福利厚生代行サービスとは

福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して実施する給料以外のサービスです。住宅手当や健康診断の受診補助、ケガや病気に対する給付金の支給など、企業によってさまざまな福利厚生が用意されています。

日本経済団体連合会が発表した2015年度の「福利厚生費調査結果報告」によると、福利厚生費の現金給与総額に対する比率は、全産業平均19.4%で過去最高となり、経営コストを圧迫する原因の1つと考えることができます。

福利厚生の提供を他の企業に任せることで、経営の効率化を図る会社も増えています。「福利厚生費調査結果報告」では、代行サービスを導入している企業は231企業のうち約3分の1という結果となっています。

福利厚生代行サービスの利用は、企業にとって経営や作業の効率化につながります。特に中小企業では福利厚生の充実度が高まり、人材の確保につながる可能性があります。また社員にとっても、勤めている会社が福利厚生代行サービスを導入すると、個人のニーズに合った制度が実現する可能性があるため、メリットは大きいと言えます。

ただし、福利厚生代行サービスを行う会社は多く存在するため、企業としては、適切なサービスを提供可能で信頼できる代行業者を選定する必要があります。場合によっては、サービス内容の質が低下する可能性もあるので、導入については十分に検討しなければなりません。

注目のサービス

福利厚生に対する社員一人ひとりのニーズが多様化している昨今、企業では「カフェテリアプラン」を用意していることも多くなってきました。カフェテリアプランとは、従業員が付与されたポイントの範囲内で希望するサービスを選択して利用することができるサービスです。

「福利厚生費調査結果報告」によると、カフェテリアプランを導入する企業は年々増え続け、2015年には約15%の企業が利用しているとされています。費用の面での導入メリットが大きいことから、導入企業の約80%は従業員数1,000人以上の企業となっています。

例えば宿泊施設やレジャー施設、引っ越し費用の補助や生活用品の購入費補助など、ライフステージに合わせてさまざまなサービスが用意されており、代行業者によっては約100万通りの福利厚生メニューを提供しています。

また、一般的には、福利厚生のメニューとして以下のような内容が人気と言われています。
・ 住宅手当
・ 昼食補助
・ 健康診断
・ 育児、介護休業
・ バースデー・リフレッシュ休暇
・ 資格取得手当

福利厚生代行サービスで企業イメージをアップ

福利厚生を充実させることで企業のイメージが高まり、優秀な人材の確保につながりやすくなります。中小企業ではコストなどの観点から自社で豊富な福利厚生を用意することは困難という場合も少なくありません。

その場合は、福利厚生代行サービスを利用することで、福利厚生費用を安く抑えつつ内容を充実させることが可能となります。「福利厚生費調査結果報告」によると、福利厚生代行サービス費用は、従業員1人あたり1ヵ月で250~499円の割合が32.5%で最多となっています。

企業規模間の福利厚生費の差は2006年から減少傾向にあることを考慮すると、中小企業であっても福利厚生を重要視する時代が訪れたと言えるのかもしれません。

(提供: あしたの人事online

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