毎月の給料に加え、日本では通常、夏と冬の年2回支給されることが多いボーナス(賞与)。それが、突然カットされることは起こり得るのでしょうか?それを知るには、ボーナスや賞与の法的な位置づけを明らかにしておくことが必要です。

(写真=TierneyMJ/Shutterstock.com)
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ボーナスや賞与には、どういう意味があるの?

日本では正社員に給料や残業代などに加え、ボーナスや賞与などの特別な給付が行われることがあります。このボーナスや賞与は、労働に伴って法律上当然に発生するものではありません。つまり原則として、当然、ボーナスや賞与を支払う法律上の義務は企業側にはないのです。では、このボーナスや賞与には、どのような法的な意味があるのでしょうか。これは給付の内容によって異なります。

基本的に、会社から使用者の裁量に任されている「恩給的」な意味しか持たない場合は、使用者の判断で支払わなくても構いません。ボーナスや賞与は元々、この使用者からの恩給的性質が強く、プレゼントとしての意味合いのものになります。

ボーナスや賞与が「賃金」の性質を持つ場合は?

一方、「賃金」として扱われる場合は、給料や残業代などと変わらず、労働基準法上の規制を受けるので、賃金の支払いに関する原則が適用されます。使用者は法的な支払い義務を負い、労働者は使用者に対して未払いのボーナスや賞与の支払を請求できることになります。

ただ、ボーナスや賞与の給付義務を定める法律はないので、労働契約や就業規則などにボーナスや賞与を支払うことが明記されている場合には、使用者は法律上の支払義務を負うことになります。中小企業などでは、もちろん労働契約や就業規則に、「業績次第ではボーナスを支給しない」旨が明記されていれば、業績悪化時のボーナス支給義務はありません。

社員がボーナスを請求できるケースとは?

労働基準法第11条によれば、「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と規定されています。つまり、労働の対償(対価)として支払われるボーナス(賞与)は、賃金に含まれることになります。

ボーナスや賞与が労働契約や就業規則に支給基準などが明らかにされている場合、労働の対価として賃金に該当し、使用者は支払義務を負うのです。逆に、ボーナスや賞与が労働契約や就業規則などに明記されておらず、使用者による恩給的なものである場合は賃金には該当せず、会社は支払義務を負いません。

要するに、労働契約や就業規則などでボーナスや賞与の支払額や支給基準、支給条件、支給時期が明確に定められている場合は賃金に含まれることになり、社員には未払いボーナスを請求する権利があると言えます。

労働契約や就業規則などにボーナスや賞与に関する定めがなくても、例えば、すでに10年にわたって年2回のボーナスや賞与の支給が労使慣行となっている場合は請求できるケースもあります。この労使慣行は、一定の事実や取扱いが長期間にわたり継続的に反復して行われ、労使双方が異議なく受け入れて当事者間の約束事として承認されている場合は「黙示の合意」が成立、または民法92条の「事実たる慣習」として労働契約の内容となり得ます。

労働契約や就業規則などの確認をおすすめ!

以上より、ボーナスや賞与が賃金に含まれるかどうかが、非常に重要なポイントです。この確認は、労働契約や就業規則に明確に規定されているかどうかです。また、労働組合と会社との合意事項を定めた「労働協約」にボーナスや賞与に関する取り決めが記されていることもあります。労働組合に加入しているなら、労働協約も確認しましょう。

もしボーナスの支給がされなかった際に、雇用主との認識のすれ違いを産まないためにも、充分に規定を理解しておくことが従業員には求められています。

(提供: あしたの人事online

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