日経平均予想レンジ22,250~22,879円
今週は東京市場の手掛かりに乏しい中、米国株の最高値更新に支えられ、週前半日経平均は心理的節目とされた23,000円にあと6円に迫る場面が見られた。その後、FOMCの結果発表後のドル安・円高が重しとなり、4日続落から下値抵抗線の25日線を一時下回った。
海外の焦点
11月米雇用統計は、前月比22.8万人増と市場予想の20万人を上回り、米経済の底堅さを示す結果となった。物価上昇の先行指標として注目される賃金の伸びは前月比0.2%増と市場予想の0.3%を下回った。引き続き賃金インフレの圧力は抑制されたと見られる。こうした結果を受けて、13日のFOMCでは政策金利を0.25%引き上げ、年1.25~1.5%にすることを決めた。焦点だった来年の利上げペースは、今年と同じ3回を維持した。声明で「米経済は雇用や消費、設備投資は緩やかに拡大する」と指摘し、引き締めの継続が適切との認識を示した。
一方、トランプ政権の今後を占う選挙として注目を集めた米アラバマ州上院補選で民主党のジョーンズ候補の当選は、トランプ政権にとっては打撃となり、米税制改革などトランプ政権の政策を巡り楽観的な見方が後退し、米上院での審議がより難航する可能性が懸念される。ただ、当選議員が実際に就任するのは年明けで「税制改革」への影響は限られるとの見方は広がりつつある。
国内の焦点
足元の経済統計は底堅さを示している。内閣府が11日発表した11月の景気ウォッチャー調査では、景気の現状判断DIは51.5で、前月比2.9pt上昇し、3カ月連続の上昇となった。家計動向関連と雇用関連が改善し、企業動向関連は悪化した。2-3カ月先を見る判断DIは53.8と前月比1.1pt低下して2カ月ぶりの悪化となった。又、12月日銀短観は業況判断DIは大企業製造業でプラス25となり9月短観の実績値プラス22を上回り、5四半期連続で改善。円安、株高や輸出増加などを背景に大企業中心に景況感は小幅改善した。
来週の株式相場
テクニカル面では、下値サポートの25日線を割り込んだ上、同線の上向きトレンドが下向きに転じてきたことでレンジ相場の長期化が懸念される。チャート上では11/16安値と12/6安値を結んだ下値切り上げ型の抵抗線22,250円付近で踏みとどまれば、上昇トレンド持続の期待は持てる。
以上、来週は海外のイベントを無難に通過し、国内のファンダメンタルズや好調な企業業績を支えに、レンジ相場継続で年末高に挑むと見ている。日経平均のレンジは上値は12/13高値22,879円が意識され、下値は11/16、12/6の安値を結んだ22,250円近辺が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト