韓国求人情報サイトのサラムインが会社員941人を対象に行なったアンケートで、31.3%がビットコインなどの仮想通貨に投資していると回答した。平均投資金額は566万ウォン(約59万円)で、80.3%が利益を出したと回答しており、損失が出た人は6.4%だった。利益率は10%前後が21.1%と最も多く、100%以上の利益を得た人も19.4%にのぼっている。
仮想通貨に投資した理由は、早く高収益を得られると答えた人が54.2%で最も多く、小さな資金で可能が47.8%、長期的な価値上昇への期待が30.8%、投資方法が簡単25.4%などと続いている。27.5%が業務への集中度が低下したと答えており、収益率によって感情の起伏が激しくなったという人も22.4%にのぼっている。
仮想通貨が過熱する一方、仮想通貨バブルの崩壊やサイバー攻撃への懸念が広がっており、政府は取引所の閉鎖も含めた規制強化を検討している。
過熱する仮想通貨バブルの崩壊を懸念する声も
ビットコイン価格は2017年11月26日に1000万ウォンを超え、韓国時間同11月29日午後4時に1274万ウォンを記録した。海外相場より17%高い水準で、国際標準時間28日正午に世界のビットコイン価格は1万ドルを超えたが、韓国の買い攻勢が海外相場の上昇に影響を与えたと専門家は分析している。
ビットコインの急騰で価格暴落の懸念も大きくなっている。ギャラクシーインベストパートナーのファンドマネジャー、マイケル・ノボグラッツ氏は米国CNBCとのインタビューで「ビットコイン価格は来年末までに4万ドルを超えるかもしれないが、急騰落を繰り返す傾向がある」と話している。短期的にはビットコイン価格が50%程度下落する可能性があると予測しており、個人投資家は純資産の3%、高額資産家は純資産の10%以上の投資は危険であると同氏は警告する。
韓国の仮想通貨の取引規模はコスダックを超えているが、通貨や金融商品などとは違って中央機関等による保証や投資家を保護する制度はない。民間保険会社のサイバー保険でも仮想通貨は「電子的データ」とみなされており、ハッキング被害に対する補償もないのが実状だ。
取引所閉鎖も視野に入れる政府
韓国政府は、2017年12月13日に関係官庁の次官会議を開催し、過熱する仮想通貨の緊急対策を協議した。本人確認を義務付け、高校生以下の未成年者の仮想通貨取引を禁止した。金融機関による仮想通貨の保有や買い入れは禁止し、投資収益に対する課税も検討することを決めた。
同21日には仮想通貨の広告を規制する法律規定を準備中であると述べており、同28日にも仮想通貨に対する投機をなくすための特別対策を行うと発表した。仮想通貨は大幅な価格変動や投資詐欺、取引所を狙ったハッキングの危険があり、国内相場が海外より高いなど投機が過熱しているため放置できないと洪楠基(ホン・ナムギ)国務調整室長は説明する。
ハッキングに備えて取引所の保険内容を見なければならないと助言する専門家もいるが、保険会社は難色を見せており、政府当局あるいは業界が自律的に取引所の保安基準を明確にするのが先という主張がある。
韓国政府は仮想通貨取引における実名制の導入、仮想通貨に関する犯罪の取り締まりと厳正処罰、仮想通貨のオンライン広告への規制強化を柱とする対策をまとめたが、法務部は仮想通貨取引所の閉鎖に向けた特別法制定を提案しており、どういった要件で閉鎖するかを含めて今後議論するとしており、同12月28日のビットコインは前日終値に比べて11%値を下げている。(佐々木和義、韓国在住CFP)